April 13, 2010

「ワーナー・ホーム・ビデオ」ブルーレイならまず『コンタクト』 ――“宝石”探しを



 ロバート・ゼメキス監督、ジョディ・フォスター主演『コンタクト』。今からおよそ10年前。それまで映画は好きで観るほうでしたがこの作品に出会い、映画は人生の糧たりうる、と気付き、今では己が思考回路の一部になってしまいました。劇場で観たい映画がない今日この頃、せっかくならばと自分の中ではついに、この作品の“感想”を書こうと先ほど数十回目の鑑賞を終えました。

コンタクト [Blu-ray]


 エリー(ジョディ・フォスター)はアレシボ天文台で宇宙物理学者として地球外生命探査に打ち込んでいる。しかし政治屋でもある上司ドラムリン(トム・スケリット)によって干されそうになるが、巨大コンツェルン総帥ハデン(ジョン・ハート)の援助により国立電波天文台で探査を続行。ついに長年待ち続けた宇宙からの“コンタクト”に遭遇、そこに託された設計図を基に建造された転送装置の乗組員になろうとする。だがかつて心身を許しあった神学者パーマー(マシュー・マコノヒー)の彼女への思いやドラムリンの策略が立ちはだかり…この後、物語は二転三転、果たしてエリーの念願はどのようなカタチになるのか。

 科学、宗教、数字、言葉、愛、そして政治が織り成すこの物語は重層的だ。実証主義をとり「信仰」を「思い込みでは」というエリーだが、彼女が地球外生命体探査に打ち込む根本の動機は幼くして失った父母への強い思いだ。彼女を非科学的と切って捨てる上司は状況によって言質を狡知に変え、当初上手くいくかに見えるが彼には相応の結末が待っている。慨して見れば科学vs宗教等といった対立図も描けるが、本質はそうした安易な色分けではなく、人間ひいてはこの社会や宇宙がどれだけ大きく多様であり、科学であれ宗教であれ、個々人が信念として何かに生きることの尊さが目ざましく描かれている。

 エリーがアレシボ天文台でパーマーに自分が宇宙に惹かれたきっかけとして、金星は“見た目”の美しさでウェヌスの名を冠しているが実際には酸の雨が降る高熱で苛酷な環境なのだと知ったとき興味を持ったと話す。この逸話はこの作品全体を表しているように思える。確かに大きな括りで言えばこの作品はSFだろう。しかし本来のSFがそうであるように“絵空事”を描くことで現実を浮かび上がらせ、そこから我々の来し方行く末を照らし出す、切り拓く一助となる。エリーが信じたのも、そういうことだ。皆さんもぜひ一見し、自分だけの宝石を見つけ出して欲しい。

 先日、BDで鑑賞。さらに美しさは際立ち、最高です!






reversible_cogit at 23:59│Comments(0)TrackBack(0)DVD | 映画

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