December 27, 2009
静寂の動、体感 細川コレクション・永青文庫「黄庭堅・伏波神祠詩巻〜中国大書家の気に触れる〜」
自分が携わる雑誌で紹介記事を書きながら、3カ月にわたる長期間の展示にもかかわらず、その終了1日前の訪問となってしまいました。東京・目白台にある細川コレクション・永青文庫「黄庭堅・伏波神祠詩巻〜中国大書家の気に触れる〜」展に26日、お邪魔しました。夏の訪問とはまた打って変わって、冬の落ち着きを見せる木々のなかで深呼吸。
展示されていた、宋代の書家・黄庭堅『伏波神祠詩巻』をはじめ、書の名品と文房四宝を間近で見られるのはまたとない機会。とりわけ『伏波神祠詩巻』の単なる豪快さとは次元が異なる、裡に秘めた真摯な熱が、品格ある筆致からほとばしる行書。自分のような素人でも、一文字一文字が奔放さを保ちつつ全体としての精緻な構成が感じられるのはよく分かり、また違いますが自室に飾ってある、「皇室の名宝展」で複製を求めた小野道風『玉泉帖』を思い出しました。
筆致の流れも、音楽の調べも、フィギュアスケーターが描く華麗な軌跡も、茶器の文様や造形も、それが定着しているものであれ、再現されることで感じられるものであれ、すべてはムーヴモンの美。静かな展示室ながら、そこに安置される作品に目を落とせば、千年前の書家の気が音を立てて流れている。静寂の動、というのでしょうか。胸高鳴る、心地よい経験をまた、させていただきました。
さぞや盛大であったであろう、クリスマス翌日の東京カテドラル尖塔と昼間の月。日本のカトリック総本山(って滅茶苦茶仏教の表現ですね)。