April 2013

April 30, 2013

アニメの行間を読むいとおしさ   村田和也監督「翠星のガルガンティア」


 ぐぅん、と胸を打たれる。こんな経験を、アニメ作品で久しぶりに感じることができました。物語が描こうとする“広がり”をおもったとき、涙がぽろぽろこぼれていました。

 TOKYO MXとBS11で放送がはじまった「翠星のガルガンティア」。村田和也監督、シリーズ構成は虚淵玄、そしてアニメーション制作はProduction I.G。音楽を岩代太郎さんが務めます。

 4話目にしてようやく明確に認識できたのは、この作品が叙事詩だ、ということです。戦闘のために生きる16歳の少年が宇宙(そら)から落ちてきたのは、水に覆われた翠星。そこで出遭う人々とのやりとりは、単なる価値観の相克だったり、友情譚とは次元が違うのです。

 たとえば何気なく描かれるカモメ、そして物語のキーのひとつとなる角笛といった小さな集積が、描こうとする豊穣な世界観を見事に反映します。前日譚がノベライズになるそうですが、“行間”を読ませるつくりとなっています。こんな作品に出遭えて幸せです。毎週、大切に鑑賞したいです。


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April 28, 2013

“絆”の意味を知る  ムン・ヒョンソン監督「ハナ 奇跡の46日間」



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 ムン・ヒョンソン監督「ハナ 奇跡の46日間」(原題 KOREA)

 
 終盤、滂沱の涙。スポ根系の作品を想像されるなら大間違いです。ペ・ドゥナとハ・ジウォン演じる2選手の友情。そして堅いチームの結束。それすべて共に過ごした時間で紡がれた絆だ。同じ民族なのだから。南北間が緊張する今だからこそ、本作の意味を噛み締めたい。







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April 27, 2013

フランス2が伝える、アップルを凌駕したサムスン



 各国のニュースが見られるNHKBS1ワールドWaveで、F2(フランス・ドゥ)が「アジアの活発な経済活動のなかで韓国サムスン」を「その成功例」として報じていました。ここにニュースの一部を引用します。

  “サムスンは GALAXY S4 を発表したその日に過去最高益を同時に発表。一方、対照的に米アップル社はこの10年で初めて減益に転じたとのこと。

  わずか数グラムのテクノロジーが世界を制覇します。韓国のサムスンは GALAXY S4 を発表し、世界に衝撃を与えました。手の動きだけでスクロールできる画面や、目によるコマンド、類を見ない高画質なヴィデオがフランスの消費者を惹きつけます。

  サムスンがアップルにしかけた戦いの新たなステージです。今やスマートフォンの世界シェアはかじり取られてアップルが19%に対し、サムスンは30%。サムスンは4万人の研究者をかかえる世界最大のスマートフォン・メーカーなのです。

  サムスンのスマートフォン・モデルは一つではありません。それどころかあらゆる価格帯の膨大な数のモデルを発売しています。ですから国ごとのニーズの違いに対応できます。一定のカテゴリーにしか属していない人々しか相手にしていないアップルに比べポテンシャルが高いのです”

 確かにFeliCaひとつとってみても、GALAXYでは使えてもiPhoneでは使えません。それだけで自分の選択基準からiPhoneは外れます。指摘の通り、iPhone使用者は自覚的に自分はiPhoneを使っている、アップル社製だから選んでいる向きがあります。一方でGALAXYが選択されるのは純粋にその性能の良さ、価格帯のリーズナブルさなのでしょう。

 数年前、フランス・ボルドー郊外の街で、エアコンの室外機に大きくサムスンの文字があったのには驚きました。つまりフランスにおいて、白物家電から液晶TV、そしてスマートフォンに至るまで、サムスン製品はその生活に根付いているのでしょう。アップルはもちろん、日本の電器産業が逆立ちしても追いつけないところにサムスンは到達しているのだとつくづく思います。

 ◆◆◆

 こうしたサムスンの躍進だけでなく、K-POPの世界展開、独島の領有権のアピールなど、韓国政府や企業の視野の広さは彼らが半島の一部ではなく、ユーラシア大陸の一部であることを実感させられます。経済規模が国内だけでは小さいからこそ世界に打って出る。

 思えば語学力も韓国の大学生のそれは、日本の学生の比ではありませんし、日本のネトウヨなんて…恥ずかしい限りです。ましてや閣僚による、A級戦犯を合祀した靖国神社参拝など、米国からも苦言が出てそっぽを向かれています。日本の島国根性がここに来て裏目にでているのでしょう。






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April 26, 2013

満月



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 今夜は満月。久々に撮ってみました。

 それは、雲に隠れたり、現れたりしながら天空に浮かんでいました。

 藤原道長は満月を目の前にしつつ、敢えて欠けた月に言及しわが世の治世円満たるを誇示したけれど、いま自分がこうして満月を眺めると、欠けた自分のことしか考えが及びません。

 月はなにごともなく満ち、欠けてゆき、また満ちる。摂理の無常が身にしみます。






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April 24, 2013

まっさらな聖地としての靖国神社、実現を



 「日本人として英霊を祀る靖国神社を参拝するのは当然である」。こうした言説に自分は異を唱えるものでない。実際、靖国神社には年に一回参拝し、護国を祈るからだ。英霊を祀る神社であるからこそ、平和と護国は切っても切り離せないと考える。平和を自ら捨てた時代の犠牲が英霊たちであり、同じ過ちを繰り返してはならないと、その死をもって実感したのが英霊たちのはず。侵略戦争の尖兵として散っていった彼らの無念を、我々は決して忘れてはならない。

 しかし現在の靖国神社は真に、そうした英霊たちにとって安住できる聖地だろうか。彼ら自身一人ひとりが護国の神となるならば、合祀されているA級戦犯は死しても尚、彼らの上に君臨する存在だろう。彼らに命令を下し、戦地に送り、無策を重ね、最初から勝ち目の無かった日本を敗戦に至らしめたA級戦犯たち。彼らを合祀している限り、靖国神社は神聖なる聖地に消しようも無いシミがある状態といえるだろう。靖国神社は、A級戦犯を分祀してこそまっさらな聖地となる。

 そんなA級戦犯の「言い訳の場」ような、遊就館の展示方針も180度転換すべきである。侵略戦争を正当化するのではなく、二度とあのような戦争を繰り返さない、二度とアジアの国々を蹂躙し、天皇の赤子たる国民を戦地に送り出さない。そうした誓い、宣言をするための展示とすべきではないだろうか。これは韓国や中国から外交的に何かを言われるからの問題ではなく、過ちを犯した側が率先してそれを認め、悔い改めてこそ真の英霊への鎮魂となり、護国を祈れるからだ。

 もし安倍総理が中韓に対して強硬な姿勢をとるなら、同様に米国に対しても原爆投下や東京大空襲など無差別な大量殺戮に対して抗議すべきだし、英雄扱いされているトルーマン大統領(当時)への批判をしてしかるべきだ。オリバー・ストーン監督(と歴史学者ピーター・カズニック氏)の視点とはいえ、氏の歴史ドキュメンタリーをみれば、いかに原爆投下が不要であったか、いかに投下後、その“効果”が誇大に宣伝されたかは十分に批判すべき内容だ。安倍総理の「芯」はどこにあるか、国民は見極めるべきだ。


オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下
オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下 [単行本]





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April 22, 2013

無常を映画で紡ぐ美しさ    レオス・カラックス監督「ホーリー・モーターズ」



 レオス・カラックス監督「ポーラX」からもう13年たったのかと思う。シネマライズで受けたあの“痛み”のやり場がまだわからないというのに。そして同監督「ホーリー・モーターズ」を新宿のシネマカリテで観た。繰り返される刺激的な倦怠。まさに“映画のような”ワンシーン、ワンシーンが凝縮される。

 



 舞台はパリ。主人公のオスカー(ドニ・ラヴァン)は初老の女性マネジャーが運転する白い大型リムジンで一日中移動しながら衣装を着替え、メイクをし、与えられた役割をこなしていく。物乞いの老女、CG映像のモデル、隻眼の怪物、殺し屋、娘を思いやる父親 etc.…。

 それは単に役者的に演じられるだけでなく、SF的要素も加えられ映像上の生死さえ、定かではない。殺してしまったか!死んでしまったか!と思っているとそれは一瞬ではぐらかされる。かりそめをかりそめで上塗りする役を次々と、疲労の色とともに演じるオスカー。

 そんな彼が役を離れ、ほんのひととき同業のエヴァ(カイリー・ミノーグ)と廃墟となったサマリテーヌ内部(パリの有名なデパート)を巡り、語らい、彼女が歌うシーンは儚く、美しい。謎めいた幕切れも本作にふさわしい。映画ならではのケレン。そして紡がれる果たしなき無連続の物語たち…。


ポーラX [DVD]
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April 20, 2013

“おばあちゃん”の手料理    ハヌリ渋谷店にて



 おばあちゃん、というより、ハルモニの手料理をきょうのお昼に食べることが出来ました。

 実の祖母は父方、母方ともに亡くなっているのですが、お昼に寄った渋谷道玄坂の韓国料理店ハヌリにて、のこと(結構、通ってます)。

 寒かったのでスンドゥプ・チゲをおいしく食べ終え、お会計をしようとすると店員のお兄さんが珍しく「お味はいかがでしたか?」と尋ねてくるので「マシッソッソヨ」(おいしかったですよ)と答えました(いちいち片言の韓国語で答える面倒な客)。すると、「きょうは芸暦(といってました)40年のおばあちゃんが厨房に入っているんですよ」と。それはそれは!と思い、心を込めて「チャルモゴッスムニダ」(ごちそうさまでした)とお礼を言ってお店を後にしました。

 そう、新大久保でも結構そうなのですが、厨房にオモニ、ハルモニ的な女性たちがいて、なんだか本当に家庭料理を食べているようでうれしくなります。そして、また味わいたくなるのです!

 








April 17, 2013

地震頻発、五輪招致と東電福島原発の現状   マガジン9・おしどりマコ・ケンの脱ってみる? 第57回 いわきのママたちと地下貯水槽と作業員の方のお話の件。



 淡路島、三宅島、宮城県沖と震度5弱以上の地震が頻発しています。もはや局地的でなく、日本全国で地震が頻発しているといっても過言ではないでしょう。とくに東日本大震災の余震は収まることなく、国土地理院のデータでも東日本の地表に大きな変動が起きていることがNHKで報道されています。

 つまり大きな地震が起きる可能性は高まり、収束作業が継続中の東電福島第一原子力発電所の存在は無視しようがありません。汚染水の海への流出など序の口で、マガジン9の「おしどりマコ・ケンの脱ってみる? 第57回 いわきのママたちと地下貯水槽と作業員の方のお話の件。」にはいかに東電が収束作業を予算抑制ありきで行い、いわばやっつけ仕事がまかり通っているのです。そして、“東大の先生”と“作業員”のやりとりとして以下のような部分があります。

作業員 「事故直後の挙動の推定がつかないだけでなく、建屋の中に驚くほど高線量の部分があるのも2号機なんです。はっきり言ってしまうと、もし注水などに問題があり、冷却ができなくなる事態が起き、どうしようもない、といった過酷な状況になったとします。1、3、4号機ならば、決死隊が被曝覚悟で駆け込んで何とかすることができるんです。しかし、2号機は。2号機の建屋は、非常に線量が高いところが多々あるため、決死隊が駆け込んでも、作業する前に死んでしまう、問題の個所にたどりつけない可能性が高いのです

  さきほど、「収束作業が継続中の東電福島第一原子力発電所」と書いたものの、実際にはまったく手付かず、手をつけられない2号機という存在が大きく立ちはだかっているのです。これに加え、全国の原発、核施設も大地震の脅威に常に晒されています。こんな地震国、さらには手もつけられない崩壊寸前の原発を抱えた日本、それも福島に近い東京にオリンピック招致など、正気の沙汰とは思えません。もし開催中に大地震が起きたら?誰もそのリスクを考えないのでしょうか?






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April 16, 2013

ボストン爆発から見えるもの―日米の“獅子身中の虫”―



 日本時間けさの米ABCニュースは特別編成でボストン・マラソンでの爆発事件を報道していました。ここしばらく見ていて特別編成は初めてです。英BBCも同様程度の扱いで、いかにこうした突発的な事故がテロの可能性をはらみ、米英という国家にとって脅威かを示しています。

 それに伴ってふっとんだ話題が、北朝鮮の動向です。撃つぞ、撃つぞ、といいながら北朝鮮はいまだミサイルを発射していません。あす撃つのか、あるいはアメリカが北朝鮮を“相手”にしたことで満足しもう発射しないのか。ただ原発再稼動に向けては動いているのでしょうか。

 いずれにしても、ボストンでの爆発から見えてくるのは、今や“世界の超大国・アメリカ”にとって、北朝鮮の飛んでくるかどうかわからないミサイルよりも、いつ起きるか分からない自国内のテロや銃の乱射事件のほうがよほど脅威だということです。実際に国民が大勢亡くなるのですから。

 一方、日本では北朝鮮の動向を利用した集団的自衛権行使に向けた動きが自民、維新、民主を中心に顕在化しています。つまり海外で戦争ができる国に日本が変貌しようとしている。それを最終的に判断するのは国民なのだけれど(参院選)…日本も、真の敵は“獅子身中の虫”ということです。




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April 14, 2013

少数意見踏みにじる安倍内閣



 前回、“アベノミクス”によって数字上だけでも日本株上昇によって自分は“恩恵”に浴している。しかし実際のところ、日銀の金融緩和政策を含め大きな破綻の可能性をはらみ、さらには選挙制度、憲法、そして国防軍創設と右巻き政策の数々を鑑みれば安倍内閣を支持できない、と書きました。

 ただ、こうした政権への評価は真剣さを欠いていたと考えざるをえませんでした。思えば、無理のある生活保護基準の引き上げ、朝鮮学校への無償化非適用の固定化、在沖縄米軍基地の県内移設政策の実行、さらには性的マイノリティへの無策などなどを僕は忘れていました。

 こうした弱者切捨て政策は、“ゆでがえる”か思考停止、あるいは富裕層のマジョリティにとっては“自分とは関係ない”と目に入ってこない、あるいは脳内で切り捨てられる政策かも知れません。しかし、それを政府が率先して実行することは民主主義の前提を崩す暴挙です。

 70%を超えるという安倍内閣の支持率=国民は、弱者を踏みにじる政権の姿勢を是認しているわけではないと思います。ただ単に、大本営発表報道を毎日漫然と見て、読んで、自ら考えることを放棄した結果でしかないはず。そう、信じたいです。でなければ日本国民は……恐ろしいです。














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安倍内閣、支持?不支持?  アベノミクスの可否と右巻き政策の相克



 いまほど内閣の政策が、実感として生活に結びついたことはこれまでありませんでした。いわゆる“アベノミクス”は今のところ、日本株を信じて投資し続けてきた自分にとって資産の倍増とはいかないまでも、“恩恵”に浴していることは確かでしょう(ただし、売却しなければ単なる数字上の問題ですが)。もちろんこの傾向が永遠だとは思いませんが、この何年もの間なかった上昇局面にあることは現実です。こうした面で安倍内閣を僕は支持していると言明すべきなのでしょうか?
  
 しかし、安倍内閣と事実上のタッグを組む黒田日銀総裁の“異次元”の金融政策は、日本国債の破綻を将来的に招く可能性を高くしているのではないか。なにしろ返済不可能な額の借金をじゃぶじゃぶするわけですから。日銀による幻想の賞味期限はいつまでか。夢が覚めればハイパーインフレに伴う金利の上昇と円の暴落。どんな恐ろしい事態が待っていることか…

 そしてさらに厄介なのは安倍内閣が目先の景気回復をエサに、不公平税制である消費税引き上げはいうに及ばず、憲法改悪、国防軍創設をセットで進めていることです。選挙制度にも、いかにも恣意的な変更を加えようとしていますし、原発存廃論議なんてなかったかのようです。正直なところ参院選で公明党を切り(あるいは切られる前にいつものごとく同党が政策転向するか)、日本維新の会と組んで諸改悪に邁進するのが自民党にとっては望ましい方向でしょう。

 こうした政治状況は、新大久保や鶴橋における在日コリアンに対する人種差別、排外主義デモの過激化に一役買っていることは間違いありません。安倍内閣から発せられる国粋主義的エネルギーは、今はマイノリティーに対して向けれられて解消されていますが、近い将来、全国民にのしかかる憲法精神を否定する抑圧として必ずカウンターパンチのように利いてくるでしょう。こんな安倍内閣を支持できるかといえば、否、というほかありません。




reversible_cogit at 02:18|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)政治経済 

April 12, 2013

さらさらと心に薫る桜花



 きょう発売の週刊金曜日、写真家・齋藤陽道さんの連載フォトエセー「それでも それでも それでも」で“白い桜”を写した作品と文章の、その美しさと言葉の響きが静かに心にこだましていたら、今夜放送のNHKBSプレミア「新日本風土記」でも“桜前線の旅”。関東以南では葉桜の季節に敢えて放送するのは粋なこと。全国の桜と、それを楽しみ見守る人々を映し出していました。そして在原業平から秋元康まで、桜を詠った今昔の和歌や歌詞、そして桜に託した思いを綴った手紙の文言が散りばめられて。人の生死を、戦争を、震災を、見守る続けた桜たち。

 君見ずば 心地死ぬべし寝室の 桜あまりに 白きたそがれ  北原白秋

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 日本的、という言葉を僕は好んで使うものではありませんが、やはり沖縄から北国まで、桜を愛しみ、そこに特別な思いを見る人間模様は、いかにも日本的な美しさではないかと思うのです。桜に華やかさを視る人いれば、散る悲しみにそぞろとなる人もいる。大勢で見物する佳さもあれば、一人、期するものあって眺めるひとときもまた、掛け替えのないものでしょう。桜は薫りません。ゆえにその美しさは咲き誇る景色と、散るさまに集約される。かわりに、さらさらと散る花びらが心に薫るのですね。その薫りが彩るのは夢見に遊ぶ春の早朝…




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April 06, 2013

歴代ホラー映画へのオマージュであり挑戦。傑作。    ドリュー・ゴダード監督&共同脚本「キャビン」



 ホラー映画に期待をしなくなっていく久しい。それでも諦められないから観るのだけれど、ドキッ!ビクッ!というコワさはあっても、展開として、でなければ描かれる業としての真の恐怖を味わうことは絶えてなかった。敢えて挙げるならつい最近、フェイク・ドキュメンタリーとしてのホラー、白石晃士監督の「戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-04 真相! トイレの花子さん」がタイトルを良い意味で逸脱したおもしろい展開をみせてくれた。ただ贅沢をいうなら、そこにはドキドキ感と低予算故のチープさとのせめぎあいがあった。

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 しかし!現在絶賛公開中、ドリュー・ゴダード監督&共同脚本の「キャビン」(The Cabin in the Woods)は、四の五の言わずにおもしろいホラー映画だった。否、いわゆるホラーとしておもしろかったかといえば違うかもしれない。しかし、かつてパスカル・ロジェ監督&脚本の「マーターズ」(Martyrs、2008)を初めて観たとき以上の興奮を抑えがたい。キャッチコピーは「あなたの想像力なんて、たかがしれている」だ。そう、その通り、ははぁ〜!とひれ伏したい。あんな劇的な展開をみせてくれるホラー映画が、保守本流とは違うけれど今まであっただろうか。

 物語は、アメリカの田舎町。数人の若い男女がキャンピングカーで森のある別荘へと向かう。着いた先ではお決まりの展開で快楽にふけるものあれば、初体験に臨もうとするものたちがいて…しかしその別荘の地下には隠された恐怖の過去が眠っていた…。と、ここまで書くとよくあるスラッシャー・ムービーだ。しかしこれが謎の組織によってすべて監視され、シナリオ通りに展開していたら…。という奇天烈なお話なのだけれど、最終的にこうした展開をも上回るカタストロフが待ち受けている。事前情報をほぼ遮断して観たけれど、多少情報が入っていたとしても、あの最後への想像は及ばないことは確実だ。

 浅草キッドの水道橋博士が「ジャンルの歴史のアーカイブと同時に新境地を開くメタ・ホラー映画の傑作中の傑作」と評しているが、観てみればその意味がよく分かる。そして松江哲明監督は「“なんでこの人たち、こんな面倒くさいことしてるの?!”と疑いつつ見てたのだが、それも仕掛けの内なのだ。では最後に何が残るのかというと“敬意と愛”なのだ。人間じゃなくて怪物への。優しいなぁ」と感想を述べている。そう。まさに本作は歴代ホラー映画へのオマージュであり挑戦だ。同時に、ホラー映画という枠を超えて傑作と喝采したい。


戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-04 真相!トイレの花子さん [DVD]
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April 03, 2013

愛くるしい  日比谷公園のカラスさん



 先日の日比谷公園にて。ほんとうに、かわゆい。この賢そうな瞳。愛くるしい仕草。思い出すだけで胸が熱くなります。


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 こんな子と一緒に暮らせたら楽しいだろうな。昼間は自由にしていただいえて、夜だけ家に戻ってくるとか(身勝手か(笑))。




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