May 2010
May 30, 2010
女神降臨 第2回表現会「死神」榊原良子@銀座小劇場
28日夜、銀座小劇場で開催された声優・榊原良子さんの独演会=第2回表現会「死神」に足を運びました。後で気付くのですが、なんと僕の前の席に久米宏さん、そして声優の田中真弓さん(パズー!藤波竜之介!)もお隣に。榊原さんは僕に「声優好き」を目覚めさせてくださった存在です。最初にそのお声を拝聴したのは「風の谷のナウシカ』のクシャナ殿下で、そのあと『パトレイバー』シリーズの南雲隊長。ほか押井守作品を中心に出演されています。
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以前、日テレ報道局内で勤務していたとき、夕方のニュースナレを担当されている榊原さんにサインを頂いたことがあります。毎日、決まった時間に色鮮やかな(の印象が強いです)スーツを着た女性が報道局の一隅に座り、背筋を伸ばし、一生懸命原稿を読んでいる。だれかがその女性が榊原さんとは教えてくれたわけでもなく、気にする風でもない。でも、もう忘れましたがその女性が、僕にとって一番の声優さんだと気付いたのです。「パトレイバー設定資料集」にサインを頂き、お礼のお手紙も手渡すことができました。さらに図々しくも僕はその職場を去る際にご挨拶をすると、「文章を書く仕事は向いてられますね」と過分のお言葉を頂いたのは…
独演会は、榊原さんが所属する事務所のHPを念入りにチェックしていたおかげで知ることが出来ました。その甲斐あって楽しかった!古典落語の「死神」を様々に脚色し、一人何役も演じ分け、なさけない甲斐性なしの男、死神、商人たちと、1時間超、立ったまま。僕はその甲斐性なしの下駄屋に自分が重なって仕方なかったです。自分でこだわったつもりの下駄が全然うれない。女房には逃げられ、その言い訳が「男は一生、夢追い人」。あ〜〜〜(笑)ということで、演技はもちろん、その筋展開までいろんな意味で楽しめた時間でした。
28日、僕は誕生日だったのですが、なんと榊原さんは31日がお誕生日で、サプライズで終演後、ケーキが贈られ、観客にはお茶が配られ乾杯しました。ちいさなフラワーアレンジメントを贈ったものの、最初からお誕生日が近いと知っていたら、もっと遠慮せずに大きいのを贈っておくべきでした。一ファンからいきなり大きなお花を贈られても気味悪いと思われてしまったら、と恐れまして。いずれにせよ、数年ぶりに女神の美声を存分に聞けた誕生日の夜。自分自身へのおけがえのないごプレゼント・バイ・マイセルフになりました(笑)
「パトレイバー」のパロディ版をご堪能ください。笑えます。
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予想より100倍楽し! 李闘士男監督『ボックス!』
きっかけは、TBSの映画PR番組「みんなのえいが」に、今夜観た李闘士男監督『ボックス!』の準主演、高良健吾が予想通り「トーク番組初出演」し、その番組冒頭を見て(あとは実際に作品を観てからにしようとやめ、先ほどやっと観ました)、やっぱりこりゃぁは観逃せないわ、と決断したのでした。今の邦画を支える一人の俳優と認識しているにもかかわらず、『バンデイジ』『ソラニン』と「おもしろくなさそう」とスルーしてしまっていましたし。高良氏、すでに邦画16本出演。さらに4本公開を控えてます。これまで散々カミソリ系な仕事をやってきて、『南極料理人』や『ソラニン』でぐぐっと新たなイメージを加えている最中。
しかしながらなにせボクシングという僕とは無縁な世界の物語であり、またありがちな青春映画なんじゃないの?という愚かな予断もあって一時期はスルーしようと思っていたのでした。が、が、それはまさに愚かなことで、高良がいきなり学ラン姿で登場したのに感動したのも束の間、高良演じるユウキが主人公の市原隼人演じる、幼なじみだったカブとの再会のシーンの映像の美しさ、演出の素晴らしさに雷(いかずち)で撃たれ、もしかしてもしかしたら、といっぺんに物語に入ることが出来ました。
カブとユウキは幼なじみで、子どものころはいじめられるユウキをいつもカブがその腕っ節で助けていた。そして高校生になって、ユウキの引っ越しで離れていた二人が、電車内でチンピラにからまれたユウキと高校教師・高津(香椎由宇)を図らずも助けるかたちで、再び生まれ育った街、大阪で彼らは再会(淀川?と梅田センタービルが背景として頻出)。カブに憧れたユウキ、成績トップも内向的ながら高校のボクシング部に入り、さらにカブに思いを寄せる丸野智子(谷村美月)もマネジャーとして参加する。指導はやさぐれた中年教師を絵に描いたような沢木(筧利夫)、カブの母でお好み焼き屋のおばちゃんは宝生舞、ユウキとカブの最大のライヴァルとなるのは実際のボクサー、諏訪雅士、そして部室でかわれているマスコット犬、チャンピーがいい味だしています。
演技よし、演出よし、脚本よし。ユウキとカブの友情と、ボクシングの変化する力関係、変化しない絆、その思いもよらない見事な展開に目が話させないだけでなく、純粋にボクシングシーンの迫力は、平静に観るほうが困難でしょう。『第9地区』以来、手に汗握りました。観ながら展開の巧さにうなり、ここまで魅せてくれるのか!と。映画は自分とは別の人生を経験すること、といわれますが、まさに自分とは無縁な世界を描いた本作は、僕にとっておもしろいのはまさに理に適っているというわけです。ほんとうに観て良かった!
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May 29, 2010
夜に溶ける
昨晩、実家でNHK・シリーズ音楽のチカラ「ピアニスト辻井伸行〜心の目で描く“展覧会の絵”〜」を見ました。親が見なかったら見なかったかも。
その内容はいったん置いておいて、ただ非常にその番組に深くかかわるのですが、辻井さんが優勝したヴァン・クライバーン音楽祭で2位を獲得し、彼と交流をもつ韓国人ピアニスト、ソン・ヨルムさんに彼がツアーの途中で出会い、彼女が自分のリサイタルでスカルラッティのロ短調ソナタを弾きました。
衝撃でした。会場となった教会は、彼女の、スカルラッティの音楽で満たされ、それは夜に溶けていくようでした。そしてここに戻り、本来はチェンバロで聴くべきをどうしてもピアニスト、イーヴォ・ポゴレリチの演奏が素晴らしくて(FMで聴いて)以前手に入れたアルバムを確かめたら、同曲が収録されていました。
どうぞ、部屋を暗くして、涼しくしてお聴きください。
ドメニコ・スカルラッティ作曲、ソナタロ短調、カーク・パトリック番号87。
演奏、イーヴォ・ポゴレリチ。1991年、ハノーヴァーで録音。
スカルラッティはバロック期、スペイン宮廷に仕えたイタリア人作曲家です。
May 27, 2010
強権維持と寡占のために …Apple社下請の中国工場で自殺多発
企業にとって情報管理がどれほど重要かが、こうした事件に現れるのでしょうか。
アップルの下請企業で「飛び降り自殺」止まらず、12件目(サーチナ)
「勤務体系が1日15時間で、月の残業時間が80時間以上」とする報道や、iPhoneのプロトタイプ機1台が紛失した際、疑いを持たれた従業員が尋問で暴行され、自殺する事件も発生」
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0527&f=national_0527_011.shtml
いま、日本のどのメーカーも、販売店の値下げ競争に苦しんでいます。が、その例外がアップル社であり、自ら販売店を選別し、利益確保を確実なものとしています。それは取りも直さず、その製品が人気商品だからであり、それを購入する人々がいるからです。
が、だれもかれもが同じ商品を使うことは自ずと市場の寡占化を生み、さきのような「強権」(日経)発動も可能にするのです。それ以外の商品が駆逐されることを意味します。もちろん、よい商品が売れるのは市場原理でもっとも大切なことでしょう。ただ、それが「よい」からではなく、「はやっているから」と購入する人も多い。
不合理だとはわかっていても、どうしてもテクノロジー・ナショナリストととして危機感を覚えます。iPadにはTDKの電池以外日本製部品が使われていないそうです。アップル社の帝国が強大化すればするほど、ソニー・エリクソンのXperiaや、富士通のF-04Bといった画期的な新製品が登場しても寡占市場で生き残るのは難しく、日本企業のテクノロジーがもはやガラパゴス化さえできない状況を生むことになってしまうでしょう。
アップル社の体質が、あらかじめ販売店さえ選別することからもわかるように、決して消費者利益を重視していません。地方在住者にとっては非常に不便(=販売店舗ゼロが6県。アップル社はネット通販を言い訳にしていますが、ネットでは無線LAN用しか販売していません。地方に無線LANがどれだけ普及しているか疑問です)と報道されています。そして、こうして伝えられる事象からもその正体が透けて見えてきます。
※この文章には多分に偏見が含まれておりますので一笑に付してください。ナショナリストとはそんなものです。iPhoneという製品が素晴らしいことには変わりありません。iPadで新聞読んでみたいです。でも、寡占への危惧から書いてしまいました。脇で見ているだけでわかるくらいに。でも、富士通のF-04Bもかなりカメラの高機能含め、多機能でいいなぁ。
May 26, 2010
オタでなくともわかる魅力 『機動戦士 ガンダムUC-ユニコーン-』
僕は残念ながら「ガンダムオタ」という光栄ある地位にはありません。しかし、それでも本作の物語の断片を知るだけでも、その映像を観るだけで、Blu-ray世代初のシリーズ作品として、古橋一浩監督、矢立肇・富野由悠季原作、福井晴敏ストーリー、むとうやすゆき脚本、そしてキャラデに高橋久美子、さらに千羽由利子も参加という、『機動戦士 ガンダムUC-ユニコーン-』がいかに現在の日本アニメの最高峰にあるかは、容易に理解できます。目を凝らせば凝らすほどにトリハダ。「大河ドラマ」としてのガンダム」、、新たな歴史が刻まれています。富野氏がかつて日経で語った思いが結晶しています。
オタではないので、深くここで語ることは僕にはできません。ただただ、その果てしない物語と、目の前で繰り広げられる戦闘シーンの壮絶さに目を見張るばかりです。思うのはは、ここで描かれる戦闘シーンが、モビルスーツやその軌跡、殺陣の美しさ、というエンタメの要素と共に、実際の戦闘の無残さを描ききっているということです。初めて小5で85年版『ゴジラ』を観て、ゴジラに弄ばれる新幹線の中で、人がどんなふうに死んでいくかなど想像も出来なかったし、そうは描かれていませんでした。が、平成ガメラシリーズがそのリアリズムを追求したように(それなくしてG3の少女の復讐劇はなかった)、僕が初めて高校生で観て衝撃を受けた『Vガンダム』では、もう十分にリアリズムは追求されていたのです。
宇宙に人類が出れば、そこにはまた戦いがある。常に戦いは後悔を伴い、それを超克するのはいつでも子どもたちであり、そこにこそ富野ガンダムはあるのでしょう。この『UC』episode1においても、祖父(CV永井一郎、彼が少年時代の大事件からこの本作冒頭は始まる)、父(菅生隆之)、そして本作主人公のバナージ(内山昂輝)へと、物語のバトンがつながれていくことが分かります。ここに登場する、パリのクリュニー中世美術館で公開されている「À mon seul désir わが唯一の望み」はさまざまな解釈があります(実物、素晴らしいです!)。さぁどうなるか。こうした魂の入った物語、映像こそ、多くの人に観てもらいたいです。
May 24, 2010
初めての韓国愛国歌 テレ朝中継「キリン チャレンジカップ2010」日本 vs 韓国戦
今夜、「キリン チャレンジカップ2010」日本 vs 韓国戦のテレ朝中継で、恥ずかしながら初めて「韓国愛国歌」を聴きました。歌うはKというちゃんとした歌手だったこともあるのでしょうが、素晴らしかった!雄大なメロディは、歌詞はまったく分からなくとも十分に魅力的でした。そこで歌詞を調べればまたまた納得。
東海(日本海)が乾き果て
白頭山が磨り減る時まで
神の護り給う我が国 万歳
<コーラス>
むくげの花(=韓国の国花) 三千里
華麗な山河 大韓人よ
大韓を永久ならしめよ
南山の老松 鉄の鎧をまとい
風霜の変わらざるは 我等の気性なり
広い秋の空 雲ひとつなく澄み渡り
輝く月は我等の精神
一片丹心(誠実な心)なり
この気性とこの心で忠誠を尽くさん
辛くとも 楽しくとも 国を愛さん
この歌詞だけでも、通貨危機を経て、今のサムスン、ヒュンダイ、LGといった日本企業が太刀打ちできなくなった韓国企業の大躍進が重なります。また隣国、北朝鮮とはまさに緊張関係にあるなかで、国民が根底にもつであろう危機感や、良い意味での愛国心がきょうの戦いを支えた一つの要因となったのでは、と想像します。
一方、「君が代」のレトリックの固まりな歌詞は置いておいても(4年前、ハンガリーGPでホンダのジェイソン・バトンが優勝した際の「君が代」には確かに感動しました)、どこぞの茶髪のにいちゃんが歌った「君が代」のひどいことよ。ヘタスギ。あの時点で、日本の運命は大方決まっていたような。ということで、政治うんねんを抜きにしても、韓国愛国歌に感動した夜でありました。
一番好きなメロディの国歌。
口蹄疫と肉巻き
宮崎県は、東国原知事就任で一気に観光地としての知名度を上げ、その物産にも注目が集まったことでしょう。実際僕自身、昔から高千穂峡はいってみたい国内旅行の地No,1であるだけでなく、新宿のアンテナショップにも足を運び、チキン南蛮を買ってきたり、冷汁を食べるようになりました。
以前TVの「C級グルメ」を採り上げる番組で、もはやC級とはいえない評された「にくまき」という食べ物があることを知り、 そして1カ月すこし前、それが下北沢(番組では大久保店)で売っているということで帰宅帰りに買って食べたばかりでした。評判に違わず、宮崎牛の焼き肉に巻かれたおにぎりはとても美味しかったのです!そしてきょう、ニュースを読みながらあの店は大丈夫か?と心配になり、再び寄ってみることにしました。
果たしてお店はしっかり営業していました。宮崎県向け募金箱があったのでせめてと小額を入れ、持ち帰ってさきほどその健在な美味を再び味わうことが出来ました。ニュースで知る酪農家の皆さんの悲痛な叫びは、まったく門外漢なので国の対応の遅れ等は判じ得ませんが、種牛も失われつつある今、早急対応が必要だと、普天間問題とはまた異なる1日を争う喫緊の大問題だと国民が認識し、世論を高めねばならないでしょう。
農業ブームといいますが、酪農家の労苦はここ数年続いているようです。少し前は牛乳消費量が激減したあおりで乳牛が減り、バターがスーパーから消える事態もおきたばかり。「補助金なんかいい。とにかく、みなさんに牛乳を飲んでもらいたい」とある酪農家の方が取材に吐露していました。これは宮崎も同じでしょう。「食べてもらってこそ、命を全うできる」。おいしい牛肉、豚肉、羊……。ありがたいことです。
May 23, 2010
青春を教えられる 大森貴弘監督『デュラララ!!』♯19
金曜深夜放送の毎日放送制作、大森貴弘監督『デュラララ!!』ももう19話。もったいなくて一時期見られないで5話くらいためていたこともありますが、『プランゼット』舞台挨拶で宮野真守さんを間近に見て、彼が本領発揮ともいえる主要キャラの一人、紀田正臣を演じ、その紀田が主となる18話(群像劇なので各回で主が異なる)を味わったら、どうしてもきのう放送19話も見てしまいました。あと、改めて気付いたのですが、吉森信(『夏目友人帳』も!)OSTも素晴らしい。
久々にこうした感覚を味わえているのですが、もちろん成田良悟原作が電撃文庫でアニメオリジナルではないとわかっていても、それでも、また一つアニメ史に金字塔が打ち立てられていると実感しています(冬にいったフランスのアニメ雑誌でも紹介されてましたので、世界的にも)。どきどきして、感嘆して、おもしろくて、ぞっとして。池袋という、自分にとっては「埼玉の飛び地」みたいなイメージしかない街を舞台に、渋谷や新宿とは違い、より若く、チャイナタウンも混在する混沌の地、やはり東京の街であることを(僕は、池袋ウエストなんちゃらを原作もドラマも知らないので)、秀逸な群像劇で見させてもらっています。
主要なキャラとなる高校1年生3人は、僕の想像も出来ない表と裏の顔があり(それは善悪の問題ではない)、彼らはそれぞれ「過去」の虜囚となっている。20話「黄天當立(こうてんまさにたつ)」の予告編のナレ、「世界は虚構だって、エラい人は言った/世界は記号だって、エラい人が言った/忌まわしい過去は妄想の産物/そんな現実、存在しなかった。それでいいじゃないっすか」に震えました。プラトン、ソシュール、そして僕ら負け組の願いか……。否、ここでは主人公は高校生なのです。過去。高校1年にして過去に囚われるとはどういうことか、安穏無益にすごしていた当時16歳の僕には考えられないこと。息が詰まります。
もちろん「虚構」の物語ゆえに、複雑な過去が彼らに付されているのは確かです。が、僕はせいぜいよくある片思いくらいで、高校1年のときに「人間関係」(これこそ群像劇のメインテーマ)で思いを致すなんてことはありませんでした。彼らにとっての1年は、僕にとって一体何年なのだろうと。そして、友人の娘さんで、女子高1年生の学校での先日聞いた話を思い出し、いかに自分が「そのまんま」で生活していたかが今分かりました。僕には「青春」がなかったということ。若く、幼いながらも友達関係(それが虚構か実体かは問題ではなく)の中で立ち居地を見つけることが「大人への途」なのにそれがなかった。それを放棄した自分が、一生中2病なのが分かった気がします。
May 22, 2010
マジメはキンモツ 粟津順監督『プランゼット』、初日舞台挨拶@テアトル新宿
きょう初日、粟津順監督『プランゼット』をテアトル新宿でさきほど観てきました。上映後、粟津監督と、CV出演の宮野真守(ナマ宮野、2度目です)、石原夏織(現役高2)が登壇し、にぎやかな舞台挨拶が行われました。この作品、舞台挨拶での宮野さんのキャラとその笑いにどれだけ助けれられたことか。
60分足らず、地球外生命体から、もう荒廃しまくった最後の地球防衛を託されたのはたった3人+司令官。監督の前作、昭和百年が舞台の『ネガドン』もそうでしたが、予告編の通りすべてCGで、それはそれで見事です。ただ、本作を観て、真剣な演技とはうらはらに、そのはしょりすぎる展開に不満をもっていたのですが、舞台挨拶でそれはネタとして捉えていいのだと了解したのでした。
つまりそれは、例えば脚本も書いた、というか「2年間PCの前に座って」すべてに渡って丹精込めて作ってきたであろう監督が、「もっとも印象に残った台詞は?」と聞かれ、宮野演じる主人公・大志が最終兵器から破壊光線を発射するとき、まんま「ビーム!」という。真剣な展開ですからエェェとは思ったものの笑いませんでした。でも、笑ってよかったんだ!「昭和特撮のDNA」が生きてるんですねぇ(でも空中戦の一部は平成ガメラの対ギャオスまんまでした)。
この作品の要になるのは富士山内に建造された高エネルギー発生装置、兼、最終兵器です。『コードギアス 反逆のルルーシュ』でも富士山は、サクラダイトという新資源を産出する中心となります。日本という国の不二の霊峰はアニメ・特撮においても信仰されいるようです。とは、最後は富士山が崩壊する本作、その後の日本の象徴は何になるのか、そこまでは考えてなさそうです。
May 21, 2010
超不完全の完璧。感嘆。 ジョン・カーペンタ監督、BD『遊星からの物体X The Thing』
遊星からの物体X The Thing
ジョン・カーペンタ監督 1982年
ブルーレイ、素晴らしいと改めて実感した。
いかんなく35mmフィルムの潜在力を開花させている。
小学生のころから何度もテレビで見てきた。
が、これまでの曖昧な記憶を払拭する、精細な映像で映し出される、
公開当時は前代未聞であったろう、クリーチャーの数々。
テレビ放映で、
どれだけ素晴らしい創造物がカットされていたかを認識する機会でもあった。
すべて手作り。NO CG!
エイリアンが完璧にデザインされたボディ美が魅力ならば、
ここに登場する変異体のまさに、低きに流れる変体ぶりに、感嘆するほかない。
いまだにその後につくられた変異系、極地系ホラー映画は本作を凌駕できていない。
変異するのは物体だけでなく、人間の心に疑心暗鬼という一滴が投ぜられただけで
どうなるかを、まざまざと、その感染力をもって示している。
今回はレンタルで観たけれど、これで手元に置かねばならない一枚だと確信した。
「見たことのないものが見たい」を、これほど顕現した作品はなかなかないだろう。
きっかけとなるワン君の、完璧な演技にも注目!
May 15, 2010
みんなの党東京選挙区候補、松田公太氏第一声@六本木ヒルズノースタワーTully's Coffee前
難聴病みには少々つらかったのですが、ずっと部屋にいるのも気がやむので外出を。待ちに待った、みんなの党が東京選挙区候補に公認・発表した、松田公太氏の第一声を聴くため、六本木ヒルズノースタワーTully's Coffee前に足を運びました。ときどき強い風と日差しがさす中、江田憲司、浅尾慶一郎、柿沢未途各衆院議員、川田龍平参院議員が挨拶し、「お姐」こと、上田令子江戸川区議会議員が司会を務めました。
以前、テレビで観たのですが松田氏はTully's Coffee Japanの創業者です。その番組でも真摯なお話が心に残っていたのですが、本日、目の前で政界を志した思い(2007年以降、海外にいてひしひしと感じる日本の国力弱体化)、子どもの時に過ごしたアフリカ・アメリカでの生活を通した「食」による文化交流=タリーズ創業時の思いとその苦難であり、掛け替えのない経験を熱く語る松田氏。旧三和銀行、Tully's Coffeeと、金融・実業の現場で活躍し、いまも現役企業家で単なる金融エリートではないその魅力がよく伝わってきました。
また今回、はじめて他の皆さんのお話も聴けたのですが、いま瀕死の日本経済に一体なにをすればよいかを具体的ビジョンを持って語る姿には、聴くこちらも励まされるばかり。特に川田議員の、医療福祉政策プロパーとしての一貫した姿勢、視点に心から共感できたのも、大きなきょうの収穫でした。3年後は川田議員が改選です。そのためにも今年勝たねば。
僕は来年、上川あや世田谷区議(無所属)を応援しますので正規党員にはなれないので、ネット党員を申請・党費千円振込みしました。たとえ却下されても一支持者として応援したいと思います。江田議員が子ども手当にかんして「お金持ちにもばらまいた」と指摘した点は非常に重要で、氏のマニフェストに「医療費応分負担」が掲げられていたのが、僕のみんなの党支持の決定打でした。単なる自由主義ではなく、社民主義的政策も入れつつ、均衡ある無駄撲滅・成長戦略を打ち出せる(金融専門家多数)みんなの党、ぜひ伸ばさなければなりません。
May 09, 2010
難聴罹患&見えた!スカイツリー
左耳、きんきんしてます。一定波長の音はピポパ、ピポパと別の音を伴ってこだまします。木曜うん?金曜アレ?土曜うぅぅ…そしてきょう、ひどい…。たまたま近所に日曜も開業されている耳鼻咽喉科があってラッキーでした。いろいろ検査したところ、おそらくストレス性の突発的な難聴だろう、と診断されました。目よりはいいですが、赤ちゃんの鳴き声とか、調剤薬局のテレビの音とか、がんがんきます。薬が早く効きますように。今週は残業はだめ、とドクターストップですが来週6月号の佳境を前にどうなるやら。
けさ気付きました。我が家の踊り場からも東京スカイツリーが見えました。ちょうど隙間に。
すでにこの東京タワーを追い越し、2倍の高さに(同倍率です)。
日経は全然ですが、なぜか読売、毎日はスカイツリーの特集記事をよく載せるのですが、どんな裏の意図があるのか。まだ地デジ化していないお宅への総務省や民放からの圧力記事でしょうか。
5月はバラの季節です。
May 08, 2010
フェチこそ愛に通ず 吉田浩太監督・脚本『ユリ子のアロマ』初日
きょうはまず朝9時渋谷ユーロスペースへ。先週の『川の底からこんにちは』に続いて吉田浩太監督・脚本『ユリ子のアロマ』の舞台挨拶付き、本日初日の整理券を受け付けしてもらうため。井の頭線神泉駅から円山町のユーロスペースはすぐで、なんと1番をゲット!緊張して3時に寝て6時に目が覚めてしまったかいがありました。
その後、府中市美術館(歌川国芳展)、世田谷文学館(星新一展)を周り帰宅して再度夜、夜の円山町へ(笑)
それまで何作か出演映画を観ていたらしいのですが、冨永昌敬監督『パンドラの匣』で主演を果たし、初めてその存在の稀有さに気付いた染谷将太(NHK『坂の上の雲』『龍馬伝』にも早速出演されてました。飄々も、真剣も既に演じ分けられています)。そしてかの、江口のりこ主演ということでチラシを見つけた瞬間から楽しみにしていました。江口さん、実に「自分の欲望に忠実な奴」でありました!
匂い(臭い)フェチがとりもつ年の差、変態系ラブコメです。素敵です。アロマセラピストのユリ子(江口のりこ)は、勤務するアロマサロンのオーナー(美保純)の甥、男子高生・徹也(染谷将太)がサロンをたまたま訪れた瞬間、その剣道をする者のすえた汗のにおいにやられてしまいます(自分も経験者なのでよく分かりますが、防具は臭うのです)。つい、学校帰りの彼のあとをつけ、廃工場で眠る彼の匂いをおもいっきり吸い…。
徹也と同級生(笠井しげ)、そして彼らが思いを寄せる、かつ彼らをうまく手玉にとろうとする女生徒(木嶋のりこ)の関係やら、ユリ子に熱を上げるアロマの女性客(原紗央莉)が登場したりとにぎやかです。それでも展開自体はすっきりしていて分かりやすく、すんなり楽しめます。なにしろ江口さん演じるユリ子が、徹也の匂いに執着する姿はやはり笑いを誘い(劇場も爆笑、爆笑。彼に気付かれて逃げる姿も!)、紆余曲折あっての終幕には納得でした。あと、背景で響く何気ない音(あるシーンでのブラバン練習音とか)も凝ってて楽しめた。
にしても染谷くん、17歳にしてあの江口さんとラブシーン。さすがだわぁ〜。あと、役としてはヤナ女な木嶋さん、自分の役をしっかり認識されていて、挨拶でのコメントもいちいち頷けて、思わぬ収穫でありました(『片腕マシンガール』に出演とのこと。シアターN系だ!)。
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May 06, 2010
ギリシアは、あすは我が身の日本
ギリシアの財政危機を、どこまで日本の当事として、引き寄せて考えられるかが、今の日本人にとって非常に重要な課題です。
死者まで出たギリシア暴動は、一部の無政府主義者が先導しているので一概にはいえないのですが、ギリシア人自身の認識が甘いのではないか。もしこのまま財政が破綻してしまえば、EU・IMFプランに沿った公共料金値上げやリストラどころか、国の機能が破綻し、EUからは見放され、隣国であり仇敵のトルコにでも占領統治してもらうしかなくなる、なんてことも起こりかねないことを想像しないのでしょうか。いくら政治家を批判しても、その政治家を選んできたのは自分たち自身であることを、民主主義発祥の地の国民ならわかっていてもいいはずです。
翻って日本はどうか。ギリシアの債務残高GDP比は135%なのに対し、日本は189%です(読売)。つまり、ギリシアより日本のほうが財政悪化は厳しい。ただその債務の中身がギリシアが他国や他国の金融機関に借りているのに対し、日本は国民がせっせと国債を買い続け、個人金融資産が裏づけとなっているからと解説されます。しかし数年後には、個人金融資産の総額がこのままいくと債務が上回る(日経)。つまり日本の借金が臨界を迎え、その時点ではもはや外国はそんなジャンク債を買ってくれるはずもなく、日本財政が崩壊しハイパーインフレの到来です。もう数年後です。
ここで肝心なのは、ギリシアは他国に借金しているからこそ、連鎖破綻を防ぐための救いの手が差し伸べられています。が、日本はまさに自滅。多い、多いといっても日本の米国債残高は約70兆円。国と地方合わせて1000兆円の債務からしたら「焼け石に水」なのことを認識すべきでしょう。
僕個人としては、10年も前から日本国債は危ないという認識なので買うのをやめています。一方で、低金利政策の本来の目的とはかけ離れ、個人資産が株式へ流れず、表面上安全な日本国債に流れたのは、結局、株価低迷・不況を長引かせましたから、これもまた国民の安易な選択の結果でしょう。さらに無駄な公共事業を大盤振る舞い=利益誘導政治を主導した自民党の長期政権を支えたのも、地方を中心とした国民です。ギリシアの暴動を他人事のように考えているのであれば、それは大きな過ちです。夏の参院選で、日本国民は財政再建と成長戦略の解答を出さなければ手遅れです。
May 03, 2010
西部邁氏の言から議論を 憲法記念日に
これまで5度ほど参加してきた、毎年恒例となった日比谷公会堂の憲法集会には市民団体、識者をはじめ、与党・社民党の福島みずほ党首は例年通り、そして共産党からは市田忠義書記局長が登壇したと、さきほどニュースで知りました。
同党の志位和夫委員長はN.Y.で開催されるNPT再検討会議に出席とのこと。「N.Y.にいったらメト(ロポリタン歌劇場)に行きたい」と、受験を東大(物理)か藝大(作曲)かと悩んだというクラシック音楽通でもある志位氏が、まだ書記局長時代に語っていたのを思い出します(朝日)。かつては共産党員が渡米など考えられなかったのを思うと、まさに隔世の感。どんな思惑があれ、米国オバマ大統領の口から核廃絶の目標が語られ、志位氏がオバマ氏への賛同の書簡を送り正式に返信があったやり取りが、今回の渡米に道を開いたのでした。
しかし改めて、ここで「核」「日本の防衛」について日本人は考えねばなりません。唯一の被爆国として、日本が核廃絶をいわないのは有り得ないことです。一方で、日本はアメリカの核の傘の下で戦後経済を順調に拡大してきました。ソ連が、冷戦の軍拡競争で体力をすり減らして自壊したのは周知の事実でしょう。先日、毎日新聞で西部邁氏が普天間基地問題とからめ、普天間基地を返上し、日本は米国の軍事力に頼ることなく自力で軍拡せよと改めて唱えていました(これには核配備は含まないと付言していますが)。
僕は経済的にも、憲法理念上も西部氏の軍拡論に与することはありません。しかし、氏がこれまで繰り返し行ってきた言は、まさに核廃絶、普天間基地問題が喫緊の課題となった現在、日本人が21世紀をどう立ち振る舞うかを考えるなら意義深い提言となります。昨今の日本外交が無力化していることは、民主党政権になってますます色濃くなってきました。こうした中で、普天間基地を国外に移すのか、あるいは沖縄県内・日本国内に維持するのか。中国が強大化するアジアで、日米同盟を将来的にどうするのか。それにともなって日本の防衛力をどうするのか。
日経は日米同盟強化しか書かないのですが、どうしても僕自身はこの点、考えあぐねるばかりです。こうした議論を国民的、体系的にし、国民投票に至る努力が必要です。