September 2009

September 30, 2009

甘い暗闇に立ち昇る  山種美術館、「新美術館開館記念特別展 速水御舟―日本画への挑戦―」



 きょう、山種美術館が千代田区三番町から渋谷区広尾に移転オープンして初の展覧会、「新美術館開館記念特別展 速水御舟―日本画への挑戦―」が10月1日から始まるのを前に、メディア内覧会が開催されました。新美術館オープン見学会から二度目のお邪魔です。

 内覧会前に山妙子同館館長が挨拶に立ち、1966年に創立者山種二氏(山種証券社長=現SMBCフレンド証券)が「絵は人柄である」という理念のもと、日本画の蒐集を開始。二代山富治氏が1976年、旧安宅コレクションの速水御舟作品105点を一括購入しました。以来、山種美術館は「御舟美術館」と呼ばれた来歴などを紹介しました。続いて、山下裕二明学大教授で同館顧問が、今回の展覧会の概要やその魅力を語り、地下1階の展示フロアに移動しました。

 絹本の軸に描かれた動物の表現、御舟が落款で模した徽宗の痩金体。なるほど、どこか徽宗の作品と御舟の繊細さは通じるかも。などと細々書くのはやめて、ぜひ美術館に皆さん足を運んでください。恵比寿駅から歩いて10分くらい、広尾高校のすぐ傍です。「実際に見てみなければ分からない魅力」(山下教授)がつまった、ほどよい規模の展覧会です。またミュージアム・ショップも充実していて、ときめくこと請け合いです。

 そんな中、あらためて速水御舟31歳の作「炎舞」について感じるところがありました。「朱も、青も感じられる背景の暗闇」(山下教授)。炎より、まずその暗闇に目が吸いつけられる。まさに餡のような甘い暗黒。そして、ようやく燃え立つ炎に目が移る。その炎の元は、縄文から続く「火」の文様のヴァリアシオンか。やがて焔は上に向かって消えていく。それはまるで、御舟が日本画の伝統を受け継ぎつつも、昇華する精神そのもののよう。

 先日見たNHKドラマ『白洲次郎』で、青山二郎(市川亀次郎)が正子(中谷美紀)に「これが芸術だ!」と、度の強い酒をカウンターにぶちまけ、火をつけるシーンを思い出した。青い炎がめらめら。芸術に触れば身を焦がし、描かれる7匹の蛾の如く焼け死ぬ。その覚悟なくして、芸術に触れるな、と。御舟も近いものを感じたのではないか。あるいは恋の炎。そこに飛び込も逃げるのも自由なのに。

 40歳にして亡くなったと聞くと夭折の天才、という連想をしました。また、モーツァルトのように自らの死期を知っていたかのような創作過程を経たのではないか、と。しかし御舟は違ったようです。それは病死する2〜3年前の作品群を見て強く感じました。明らかに欧州旅行を経ての作風は変化し、目の覚めるような色彩、明瞭とかすむような輪郭を使い分け描かれた、和蘭陀菊、鯉、鶴、そして暗闇にほんのりうかぶ梅の花…。もしも御舟が「葛藤」しつつ年を重ねていたなら、さらにその作風を変化させ、新たな境地を開いたのでは、と。

速水御舟―日本画を「破壊」する (別冊太陽 日本のこころ 161)
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巨匠の日本画〈10〉速水御舟
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September 29, 2009

乙女も、永遠の乙女も、オトメンもいくべし  サントリー美術館「美(うるわ)しの和紙〜天平の昔から未来へ〜」



 現在、ミッドタウン内にあるサントリー美術館で「美(うるわ)しの和紙〜天平の昔から未来へ〜」展が開催されています。複数回の展示替えを経て12月3日まで。僕は内覧会でお邪魔したのですが、お勧めしたミッシェルさんも大絶賛。抽象的なタイトルからは想像を超えた、オトメンな世界が広がっておりました。

 つまりは、和紙のメタモルフォーズを楽しむという企画です。会場入り口には和紙で形作られた椿(修二会で使用)が出迎えくれます。歩を進めれば、平安時代の和歌がしたためられた料紙の慎ましく、かつ、そのきらびやかさに見惚れる。かなの連綿の優雅さとあいまって、書というジャンルを超えた工芸品です。

 さらに季節の風景を花々と動物の組み合わせで、箱庭風に再現したお供え物のかわいらしさは、もはやオトメンとかというヤワな表現は適いません。しかし、確かに職人さんたちはオトメンでなければ、ああしたものは作りえなかったと考えます。いかに、男は、女は、というジェンダーで区切った遊びや文化が意味のないことか、よーく実感できます。

 東大寺の修二会で着られるあの白い衣が和紙製だと初めて知り、最近話題となった祓具の大麻(おおぬさ)も。たいま、じゃないよと。さらにサントリー美術館の大きな見せ場、4階から3階へ降りる階段のスペースが、いかに使われていたかですが…ぜひ、いってからのお楽しみで。まだまだまだまだ、見所は書きつくせません。前田育徳会所蔵の百工比照も見られます。ときめきたい、あなたへ。








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September 28, 2009

藤井財務相の「幻」が現実を食らう  円、対ドルで88円台突入



 8月28日、N.Y.へ向かうJAL機上でAERA1180号の犇睛札泪鶚瓠屬阿辰繊爾気鵑里海海世韻力叩廚鯑匹澆泙靴拭「政府も政府だけどトホホな民主党」。政権交代前夜、自民党の与謝野前財務大臣が民主党の政策をバラマキと批判するのは、それを散々やってきた自民党はどうなんだ。一方で内需主導をうたう民主党の無謀な政策はトホホだと指摘。まったくその通りです。そして結び。

 しかし、こと経済に関して野党全体で見るなら、切り札が一人います。共産党の大門実紀史参院議員です。政府、日銀の一連の市場介入政策を国会で非難し、白川方明総裁に向かって、「効果が出たときには機能を壊しちゃっているわけですよね、市場の機能を、メカニズムを!」
 これを聞いた白川総裁がうれしそうな顔をされていたのは、いうまでもありません。


 つまり、共産党員であるが故に資本主義を知り尽くし、「市場の健全性」をどの党よりも守ろうとしているのが共産党議員という皮肉。日銀総裁とホンネでぶつかりあえるのは共産党議員だけ…。この記事を読んだとき、やはりそうなのか、と思ったものでした。実際、今回の衆院選で公明が惨敗したのに対し、共産は現有維持をしました。

 が、しかし。もう一歩踏み込んで考えなくてはならない。藤井財務大臣が犇産党的瓠峪埔貮垈霪」論、つまり円高容認論を振りまいた結果が対ドル88円台突入という緊急事態です。ある意味、原理原則を口にすることは難しい。しかし、それを知った上で口にしないで、それが必要悪と認識しつついかにテクニカルに対処するか、これが為政者の立場であり、国政全体に責任を負う者の指針でなくてはならないでしょう。つまり原則だけいうなら共産党でもできる、ということです。

 内需拡大を唱える民主党。しかし、例えばきょう日経新聞でも話題にされていた民主・自民の研究会がそれぞれ掲げる「1000万人労働人口受け入れ」などの抜本的な政策をとらなければ少子高齢社会下で内需拡大は「夢」というより「幻」であり、「夢」への具体的な施策を講じることもなく、「幻」のために現実社会が瓦解していく、まさにそうした光景がきょうの東証でした。88円ではどんなに切り詰めても輸出立国日本は、頼んでもいない瀉血を繰り返しされるようなものです。藤井財務大臣は、いったん引退表明したのを引き止めてくれた鳩山総理からの優遇に対する慢心を戒めるべきです。





reversible_cogit at 23:26|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)政治経済 | 新聞

September 27, 2009

トリハダ。そして涙。  稲川淳二ミステリーナイトツアー2009@メルパルク東京



 きのう午後6時怪演、「稲川淳二ミステリーナイトツアー2009」@メルパルク東京へ。これで何年連続か忘れましたが、5回目くらい。

 SH350116渋谷から直行したので多少時間があり、しばらく東京タワーや愛宕森ビルが見える、増上寺傍の公園できのうの日記の原稿をPOMERAで書きました。穏やかな夕刻。

 今回はカンボジアでの稲川さん実体験から始まりました。ただ会場で、クメール・ルージュの虐殺と聞いて知っている若い人は少ないかもしれなかったです。政治犯として殺された人たちがホテルに三人、縄につながれたままの姿であわられたそうです。また撮れた写真も恒例の心霊写真上映で見ました。

 テーマとして、暗闇の中の恐怖というものが多かった気がします。真っ暗闇、隣に座っている人の顔さえ見えない。聞こえる声、つかんだ腕。もう鳥肌が立ちました。また、そうした瞬間恐怖的なお話の一方、転勤先の押入れから聞こえてくる?声?の悲しい要因は、怪談の真骨頂でしょう。そして、稲川さんの友人の方のお話。男親とお子さん二人で、そのお子さんがイギリスに留学し、その帰りを待つ思いと悲劇。人が、ただのたんぱく質の塊でないことが実感できます。

 最後はいつもの「変化する心霊写真」。水辺に浮かぶ男の顔が、以前は向こうを向いていたのに、はっきりこちらを向いてくる。確かに、僕が毎年見ているだけでも変化しています。そしてカーブミラーに浮き出た顔と消えたブラウン管に写る子ども。特に後者は、いまこうして書いているだけで怖い。ほかにも沖縄の自殺の名所で撮られた写真の、あの生きることへの憎悪に満ちた表情は悲しすぎます。

 SH350002終わったのは午後9時20分前くらい。大幅に予定を超えて語ってくださいました。満員の会場。老若男女。車椅子の方も複数。「怖い」だけでなく、人の稲川さんという語り部の人となりに触れたい人たちが全国で総毛立ち、涙しています。




September 26, 2009

見上げれば、夢幻の幕開けに望む顔が   寺山修司原作、白井晃演出『中国の不思議な役人』@パルコ劇場



 きょうはステージもの2本。パルコ劇場の寺山修司原作、白井晃演出『中国の不思議な役人』。そして夕方からはメルパルク東京『稲川淳二ミステリーナイトツアー2009』。まずは秋山菜津子さんの舞台を。

 terayama912_3座席のすぐ傍ら。ほぼ真下から見上げると彼の顔はスポットライトに照らし出され、その視線は客席から舞台にじっと向けられていた。すっくと立った、寺山作品のイコンともいえる白い学生シャツの少年(田島優成)。これから彼が、そして観客が体験する世界と対峙して。その瞬間、パルコ劇場で一番の場所で彼を見上げられるなんて…。そう、見ることの驚喜と狂気を味わう幕開けでした。

 人形を妹(夏未エレナ)にした少年の、夢幻世界。鏡の向こうのお話。艶やかな娼婦たち(町田マリー、エミ・エレオノーラ、初音映莉子ら)、異形であり屈強な男たち(吉田メタルら)。カーキ色の軍服に、軍帽を目深にかぶった女(秋山菜津子)。その周りで立ち回る女衒(岩松了)や客(春海四方)。彼女がたくらむのは「中国の不思議な役人」(平幹二朗)の暗殺だ。そして高笑いとともに出現する高貴な民族服に身を固めた宦官。彼と、生を受けた人形の愛くるしい妹は心通わせるようになる。仕組まれた、軍服の麗人の意図のままかのように。人形として生を受けた者と、その生を次代に継がせることも叶わない、死ねない永遠の生をいきる者。

 まっぷたつに切断されても“死”なない役人は、妹に愛されることによって生を受け、次の瞬間、死ぬ。しかしこれすべて鏡の中のこと。すべては反転し、ふたたび少年は僕の傍らに戻り、そして舞台上にはすっかり娼婦の妖艶を手に入れた妹と、役人、そしてそれを見張るかすように軍服の麗人が彼らを見つめているのだった。

 またやってしまいました。舞台上ではしっかりした物語が進行しているというのに…またまた夢幻世界が僕に移り、こっくり。昨晩は実家に泊まってよく眠れず、さらに朝ははやかったもので。秋山さんの名演を前にこっくりするなんて不覚!!ただ久々にバロック!な作品を楽しめたのは確かです。





reversible_cogit at 23:03|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)演劇 | ダンス

September 25, 2009

完璧な美≠オーラ   日本民藝館「柳宗悦の世界−生誕120年記念特別展」



 先日、舞台監督をしている友人と駒場東大前の日本民藝館へいきました。彼女はサントリー美術館に通いつめ、月に複数回も着物を着られる、和をこよなく美大卒 

 日本民藝館は数年前に一度行ったきり、これで二度目です。現在開催中の展覧会は同館の始祖、柳宋悦の蒐集品の特集展示「柳宗悦の世界−生誕120年記念特別展」。11月19日まで。民藝館の名の通り、財団が保有するような一級品ではなく、身の回りで昔から使われてきた民間伝承の素朴かつ高度な技術が結晶した、何気なく愛おしい文物たちが公開されています。さらには氏が傾倒した李朝、アイヌ、台湾などの民俗学的に価値ある品々、バーナード・リーチや河井寛次郎らの陶芸品が堪能できました。

 思うのは、西洋の陶磁器は完璧・完全無比な装飾性・美が前提であるけれど、東洋美術の陶磁器の魅力は不完全な、名状しがたい美しさなのだと。ひび割れさえ、そのひびを埋める金泥の模様さえ美しい。人が使い込み、大切にしてきた思いもひっくるめてその品々に宿り、魅力となる。故に河井寛次郎のツボを押さえ、デザインから彩色まで完璧な茶器は、美しいけれど念不足、というところを感じました。

reversible_cogit at 01:42|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)展覧会 | 演劇

September 24, 2009

もはや男は有終の美を生きるのみ   宝島社広告「女性だけ、新しい種へ。」



 けさの日経新聞を開いたらこの広告。

 20090924-00000020-maiall-ent-view-000いつも宝島社の広告には、かつてのセゾングループのそれがもっていた匂いを感じます。しかしはるかに強力。解体と再生を同時に提示するのです。その言葉を生み出す、前田知巳氏の言葉を毎年どこかで待っている気がします。でも、それではダメダヨと前田氏はいうのです。
 
2001この広告を見たのが、初めて宝島社×前田知巳の犧酩吻瓩砲劼兇鬚Δ辰榛能蕕侶亳海任靴拭そうだ、そうなんだ!と。これほど明確に、変革の立場から政治を広告という媒体で切ってみせたのは、切っているのは悲しいかな唯一ではないでしょうか。2001年から8年遅れて、このメッセージが国民に届き、投票日に出かけていても投票できるようになっています。僕も含め、期日前投票者数1400万人超。

 さて、「女性だけ、新しい種へ。」
 安野モヨコさんが描いた女性は阿修羅より2本少ない4本の腕を持っています。女性はすべてのしがらみから解放され、女性は女性のためだけにいき、進化し、いずれ生殖・出産も自家薬籠中とするのではないか、と。生殖に男が要らなければ、草食でも肉食でもイケメンでもなんでもかんでも本質的に男は不必要となりましょう。あるいは、性処理具という存在に過ぎなくなる。

 この見事な権力の逆転。政権交代などという生易しいものではなく、「小沢ガールズ」などと揶揄する男たちは、その「ガールズ」にひれ伏すのです。そして、やがて男は消えてなくなる。男は有終の美を生きるのみです。実際、男性の精子の数は減り続けているそうです。これらを反語に出来るか、既得権益に胡坐をかく男たちよ。




reversible_cogit at 23:33|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)政治経済 | 新聞

September 23, 2009

排出枠を買い、低炭素技術を売れ   鳩山総理、国連総会で温室ガス25%削減目標明言



 鳩山総理が、国連総会で温室ガス25%削減目標を国際公約として明言しました。議場からは拍手。国連総会で、日本が拍手を受けるなど、生まれて初めて見る光景かもしれません。米中G2から一線を画し、世界の範たる基準を示した。ゴア元米副大統領はもちろん、あのサルコジ仏大統領でさえ日本を讃えた。久々に国民が誇れる演説でした。

 DSC_1133_サイズ変更賞賛が大きい分、その言質が負う責任の重さは計り知れない。それでも経団連や日本商工会議所など財界からも、決して前向きではないにしろ、国際公約実現への協力や政府のリーダーシップを求める声が出たのは特筆に価します。財界にとっても、これを新世代の商機と捉えるべきです。

 NHKが伝えた街頭インタビューの反応ではプラスなものだけでなく、「現実的に無理だ」というものもあれば「国民の負担になるのは困る」という率直なものがありました。まず、「現実的に無理」という反応は分かっているつもりでしょうが、全く違う。憲法9条は国際貢献の足枷だ、というに等しい。たとえ最終的に達成困難としても、まさに現実的に温暖化が進む地球環境を考えればやらなければならないし、新技術を駆使して取り組むことが必要です。まずは高い原則が必要なのです。さらに「個人に負担は困る」というのは浅はかのようでいて、正しい。大幅な温暖化ガス排出削減は、個人が少々努力しても焼け石に水、企業にこそ責任が求められます。が、それにかかる費用に関しては価格転嫁を容認すべきです。

 しかしそれだけでは足りない。そこで排出権取引の活用が重要になるのですが、単に枠を発展途上国から買うのではなく、枠を買うのと同時に、電力需要が急拡大するであろう相手国(企業)に先にも書いた原発、自然エネルギー発電設備をはじめとする低炭素技術を売り、相手にとってもプラス、日本にもプラスの結果に導く国策が求められます。有言実行のためにも、鳩山総理は軍事ではなく、本当の意味でアジアの枢軸たる日本を再建して欲しいものです。中国とは異なる次元のリーダーシップを。





reversible_cogit at 22:00|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)政治経済 | TV

September 22, 2009

新日航・日航清算事業団設立へ??



 けさの日経に「もう銀行は、実質債務超過の日航には金を出せない。故に日航を新会社と清算会社に分離しろ」という旨の提案が日本政策投資銀行(3000億円貸付)やみずほコーポレート銀、三菱東京UFJ銀(各同1000億円)から出ている、と報じました。

 つまり旧国鉄と同じ方式をとる、ということでしょうか。いずれにせよ現在の株主は泣きますが、少なくとも新生日航と日航清算事業団の二本立てで、AA/BAあるいはDLとの提携は新生日航の再起の一助となれば…。これも政権交代し、政投銀が政府から独立性を保とうという強い方針を打ち出した、ということ。さて前原国交相はどうでるか。


 日航の新旧分離要請へ、政投銀など主力行 
 実質債務超過の恐れ(日経)

 経営が悪化している日本航空の再建問題で、日本政策投資銀行など主力金融機関が政府に対し同社の「新旧分離」を含む抜本策を求める意向であることが21日、明らかになった。財務安定へ向け、公的資金投入を可能にする特別立法を要請することも視野に入れる。政投銀などは日航が2009年度末に実質的な債務超過に陥るとの見方を強めており、日航が要請中の追加融資は困難な情勢。早期立て直しに政府の強力な関与が必要と判断した。

 複数の関係者が明らかにした。前原誠司国土交通相は24日に日航首脳や主力金融機関幹部から再建方針を聞く予定。銀行団は国交相に抜本策をテコにした再建を強く求める構えで、政府、日航との調整を本格化させたい考えだ。 (06:00)


reversible_cogit at 09:03|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)政治経済 | 新聞

September 20, 2009

エンタメとして観る、楽しむ  崔洋一監督、宮藤官九郎脚本『カムイ外伝』



 きのう『TAJOMARU』の前に観た公開初日、崔洋一監督&宮藤官九郎脚本、『カムイ外伝』。新宿ピカデリーのシアター1am10:30、気負って3日前に予約して座ったのにかなり空席ありました。そんなもんなのかなぁ。

 物語は、カムイ(松山ケンイチ)が被差別部落出身であり、それ故に忍(しのび)となるもその手口についていけなくなり、抜忍(ぬけにん)となって追忍(ついにん=イーキン・チェン、芦名星ら)に襲われるところから始まる。逃亡の最中、川で備中松山藩藩主・水谷軍兵衛(佐藤浩市)の愛馬の脚を切る男、半兵衛(小林薫)を目撃する。その男の後を追い、共に船に乗るも途中で突き落とされ流れ着いたのが、半兵衛とかつてカムイが追った抜忍・スガル(小雪)が暮らす島に流れ着き…。ほか伊藤英明、森山開次ら出演。後半は瀬戸内海が舞台。

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 とにかく飛ぶ鳥や鹿、大鮫など、CGとすぐ分かるCGを多用するところがまず気になります。CGを使うことを非難しているのではなく、それと明々白々に分かってしまうから面白くない。加えて『GO』での在日差別に対する描写に抜きに出た宮藤脚本も、今回はそこの部分がはしょられて未消化気味。全体的に、「猜疑心」とかキーワードが出てくるもののそれが浮いてしまうような薄味な物語となっている。

 が、それらを補って余りあるのが疾走感ある殺陣の見応えであり、スガルと半兵衛との娘サヤカ(大後寿々花。声優もこなし、もはや演技派女優に仲間入りか)がカムイに寄せる思いのかわいらしさが、たとえ彼女に死亡フラッグが立っていたとしても、観ていて十分に胸が温かくなる。崔監督はこの作品をエンタメと位置づけているし、やるなクドカンという感じ。

 それにつけても、やはり松山はこれくらい寡黙で熱い役がふさわしいのかな、と思う。もちろん『人のセックス〜』も『DMC』もいいけれど、今頃気づいたその鼻梁の高く美しいさまが、あの切れ長の目とともにアクセントになっているのだと。朴訥と高貴の妙、とでもいえばいいのか。また出演時間は短いものの、破戒の当主を演じた佐藤と、彼をたきつける奥方を土屋アンナが毒々しく好演。ぐっと画面が引き締まる。「2」も制作されるらしいので、その直接対決が見られるか。土屋さんは元気な赤ちゃん産んでください。

 ということで、本作はあくまでエンタメ。人情あり、裏切りあり、恋あり。そう思って観れば、長く感じるもこともなくいいのではないだろうか。

 そういえば横溝正史の『金田一耕介』シリーズも、あの岩井志麻子先生も岡山の物語。本作もあわせて、岡山という土地の因果を感じます。







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September 19, 2009

小栗同事務所の田中・綾野プッシュ映画   中野裕之監督『TAJOMARU』



 きょうは映画、邦画時代劇2本。『カムイ外伝』『TAJOMARU』を新宿ピカデリー、新宿バルト9で観てきました。ということでまず、『TAJOMARU』から。

 『Stereo Future』『RED SHADOW 赤影』(ともに2001年) の中野裕之が監督『TAJOMARU』、トライストーン・エンタテインメントの山本又一朗がプロデューサー。作品が始まって、中野監督だと初めて知りました。事前に低評価は知っていたので、あぁと。『Stereo Future』は大好きですが(DVDもサントラCDも持っている)、『赤影』は……。  

 時は中世、応仁の乱前夜。管領職の畠山家の長男・信綱(池内博之)と二男・直光(小栗旬)の元に、足利義政(萩原健一)が当主を失った大納言家の阿古姫(柴本幸)と婚姻を前提に、二人のうちどちらかが早く管領職に就くよう命を下した。しかし阿古姫は直光の許婚、信綱は面白いはずがない。そこを突くのが桜丸(田中圭)。彼は子どもの頃、畠山家に忍び込んで捕らえられたところを直光に救われ、以後、家臣して仕えていたが義政に「うい〜やつ」と見初められ、今や一番のお気に入り。桜丸は画策し、兄弟は反目して直光と阿古姫は逃亡、そこで多襄丸(松方弘樹)と出遭い…

 まず指摘したいのは、音楽がいかにもシンセイサイザー、みたいな音色でげっそり。これはひどかった。音楽が盛り上げるほど、反比例して覚めていく…。それでも劇的といえば阿古姫が多襄丸に犯され、目覚めた直光を殺してくれと頼むこと。こいつのせいでとんだ目に遭った、と。一方、それにショックを受けた直光は多襄丸を殺し、その名を受け継ぎ、盗賊の格好をしたところに道兼(どうけん=やべきょうすけ)たちと出遭う。その仲間の一人、サルを綾野剛が演じている。

 本作、自分の右隣席、上映前にかる〜いバカ話をしていた女性が泣いているかと思えば、左席のご年配の男性はこっくりこくり。上映時間は無駄に長く感じられ、小栗の演技は単に仰々しく(舞台ならOKだが)、物語も主人公も凝縮感がない。そんな中、田中演じる桜丸の徹底したアンチヒーローぶりは際立つ。殺陣が見応えあるのと同時に義政がぞっこんとなった「うい〜」さも強調される。悪であり華。また、いつもの長髪ソバージュの綾野がストレートで、これも殺陣をみせつつ笑顔も見せる明るい役(ほかに明るい役を見たことがない)ではまる。つまり、小栗はもう十分売れている。次は田中、綾野というさらに伸びる二人を売り込む山本の意図が明確な演出となっている。

 なんとも見所はあるけれど肝心な芯たる物語は弱く、脇役がいいぶん、主人公の色がうすくなる。つまり、作品全体としては核のないぶれぶれな感じが否めない。また、小栗×やべという組み合わせは、その役柄のポジションさえ似通う『クローズZERO』とだぶってしまうのもまずくはないか。田中、綾野ファンには見応えがあっても、小栗や物語自体を楽しみたい観客には物足りない作品となっただろう。

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September 18, 2009

見よ、今日も、かの蒼空に飛行機の高く飛べるを。



 DSC_068510月号もあとは納品だけ。疲れは重いけれど、心は軽く、秋空高く、気温も適温、午後に美術館から借りた写真を返送するために職場近くの郵便局へ。なにげなく見上げた空に、それは軽やかに飛翔していました。品川操車場の向こう、汐留から続く高層マンション群の向こうの空高く、青空をバックにJAL機が羽田から急旋回して上昇していきました。美しい。溜息がもれました。(写真は羽田空港から)

 もしかしたら、実際に機上の人でいるより、その雄姿を遠くから眺めるほうが楽しいのかもしれません。JALの進退窮まった現況がこそが、幻のように思えました。JALは日本の縮図です。もらいすぎのJALOB年金受給者たちは、自分たちの生活さえ良ければJALがつぶれてもいいのか。あるいは、国策というしがらみにがんじがらめで無駄な路線を切れなかった。全国各地に採算度外視で、自民・ゼネコン連合が税金を無駄遣い放題で造りまくった空港と空港を結ぶ路線に、未来があるはずがなかったのです。

 いま日本の高齢富裕者層が次世代のために身を切る必要があるように、JALOBに微塵でも愛社精神があるのなら、JAL提案の新年金制度を受け入れるべき。また、公共事業の無駄をなくすために前原氏が国交大臣になったのなら、自民党時代のツケが今のJALを苦しめている状況は容易に出来るはず。今のJALに何が必要か、有識者会議を白紙にするのなら、より民主的で日本経済や雇用にとってプラスな解決に導いて欲しいのです。あの美しい機影の影が、はやく消えるように。きょうも、あすも。



  飛 行 機     
           石 川 啄 木


  見よ、今日も、かの蒼空に
  飛行機の高く飛べるを。

  給仕づとめの少年が
  たまに非番の日曜日、
  肺病やみの母親とたつた二人の家にゐて、
  ひとりせつせとリイダアの獨學をする眼の疲れ……

  見よ、今日も、かの蒼空に
  飛行機の高く飛べるを。





reversible_cogit at 00:04|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)政治経済 | 観光

September 17, 2009

円高容認は時期尚早  藤井新財務相発言で円急伸



 きのうは仕事の佳境で、帰宅したのはついさっき。新政権、新内閣の発足日というのにニュースも見られず、無縁な一日でした。いまやっとスカパー!のNNN24でちらと見られました。そして、ここでいくつか新政権への危惧と期待を書いてきましたが、早速に新内閣・藤井財務大臣の発言が東証・為替を揺さぶったようです。

 藤井財務相は、為替介入はしないことが基本姿勢であると発言したようです。「緩やかな動きであれば介入することには反対だし、介入できない」「輸出で円高反対という考えはきわめて一方的。円高の良さは非常にある」。いうまでもなく、政府が少々株式市場や為替市場に介入したからといって、小手先の操作では潮流は変わりません。しかし敢えて、この円高傾向がつづく状況の中でそうした発言を不用意にすることの意味を、改めて問わねばならないと思います。
 
 民主党政権は「円高容認政権」とみられているようです。つまり、消費生活者の視点で、輸入品の値段が下がる円高は家庭経済にプラスに働く、という論法。しかし、民主党が本気だかどうだか分からない「内需主導の景気回復」という日本経済構造変えるには、5年以上はかかるはず。つまり今の衆院の任期よりかかるのではないか。ここで敢えて円高容認をするならば、せっかく持ち直しかけてきた日本経済は腰折れ確実です。

 きのうの東証の値動きの日足をみれば、新政権発足に向けてどんどん値上がりしていたのに、円急伸にともないあっという間に下落に転じました。別にきょう、あすの株価をうんねんの話ではありません。いつまでも野党気分で発言しては困るのです。藤井氏は確か羽田内閣の大蔵大臣経験者。しっかりして欲しい。今の日本にまだ円高政策は時期尚早です。





reversible_cogit at 02:31|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)政治経済 | TV

September 15, 2009

次期金融相・亀井静香は国民をなめるな



 悪夢。悪夢。悪夢。逃げる、逃げる、日本市場から外国人投資家が逃げいく。こんな逆コースの国に、ただでさえ少子高齢化、人口減少国家でGDPが減少するのは必至なのに、自民党より更に古い、アンシアン・レジームの屑カスのような奴が金融担当大臣、加えていったん民営化した国営企業をまた国営化する担当大臣なんて。

 亀井は国民を、日本をなめている。なぜイギリスに出来たことが日本じゃ出来ないのか。このまま日本は、ずぶずぶずぶずぶと沼に足をとられたまま沈まなければならないのか。僕は、目先の飴をしゃぶりつくして身の破滅にただただ身を任せる日本なんかみたくないんです。軍事力じゃなくて、科学技術や、人的国際貢献を裏付ける経済で尊敬される国に住みたいんです。

 国交大臣は前原とのこと。あの強権主義者が、いまやっと国家の頚木によって強いられた不採算路線を整理して、復活しようとする日本航空を、変化の象徴として血祭りに上げるのではないかも危惧するばかり。なぜもっといい人材がいるのに、民主党は適材適所が出来ないのか。鳩山次期総理はやはり宇宙人で、うちから日本を崩壊させるためにやってきたのか。ワーストレディの血の色が緑だったら大変だ。

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September 14, 2009

三菱がつなぐ宇宙



 先日、こんな新聞広告を発見。 三菱電機

 宇宙ステーションに自動でエネルギー補給。そんな見出しに、もうテクノロジー・ナシャナリストの僕にとっては、文系ゆえの無理解に立った久々に興奮した広告でした。最近、NECやIHIが宇宙産業に力を入れる記事は読んでいて、確かに日テレもテレ朝も放送のシステムってNECだった。というか、10年位前にNECが絡んだ防衛庁汚職があったけれど、親類が川崎の研究所に勤務しているのもあって当時はNECは…と思ったのですが、裏を返せばそれだけ技術に長けているということ。

 そしてやはり三菱は強い。皆さんが三菱電機にどんなイメージをもってられるかは分からないですが、正直、エアコンぐらいしか印象になくて、実はこちらが本領だったと。例えば東芝が、実はサザエさん的な白物家電は余業で、半導体と原発の企業と知ったときはトキメキました。いま注目のLED・有機ELも半導体の一種ですから、日本の明かりは東芝が変えるでしょう。そう考えると、一般的イメージと実体がほぼ寸分違わないソニーという会社も、やはりすごい。

 そんな感じで、この【ビデオニュース】H-IIBロケット試験機打ち上げの様子を公開、を目の当たりにすると感動もひとしお。しっかり三菱重工のロゴも入ってる。ただ同社にがっかりしたのは、MRJの機体に当然ながら炭素繊維を使用すると思っていたらなんとアルミに変更とのこと。三井系の東レとは組みたくなかったか…。ま、それはさて置き、この美しい映像と、はらはらどきどきを皆さんで楽しみましょう!



こちらはもっとすごい!ぜひ、本ページにとんでフルスクリーンでご覧下さい。





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September 13, 2009

創作とは須らく告白   dancetoday2009



 彩の国さいたま芸術劇場で13日、「dancetoday2009」を鑑賞した。演目は『イキ、シ、タイ』 C/Ompany(大植真太郎 柳本雅寛 平原慎太郎) 、『le droit de rêver 夢みる権利』 廣田あつ子×中村恩恵、『trio 〜《シアンの告白》より抜粋』 unit-Cyan(金森穣 井関佐和子)の3作品。

 最初は平原、柳本、そして3人によるコミカルを基調としたダンスが展開した。登場した平原は劇場と、観客と自分と、自分たちとの距離を測るようだった。やがて掛け声あり、「いてっ!」あり、小ネタに扇子が急に飛び出したのには大いに笑った。さながら腕白な男の子たちのじゃれあい、超鍛錬版という感じ。上に下に、左に右に、くねくねと彼らが絡み合うのを見ていると、この空間から重力がON/OFFしているかのような感覚を味わえる。最初、一枚だけ会場に落ちていたビニールの袋が、最後、数え切れないほどのビニール袋が大きな綿雪のように降りしきり、風で巻き上げられ、渦を巻いた幻想的な光景が繰り広げられた。楽しく、美しく、躍動感が心地よい作品だった。

 2作品目は、ヴァージナルの演奏にあわせ、中世貴族風の衣装に身をやつした幾何学的なパドゥドゥからはじまった。が、正直、作品タイトルが乗り移ってくるかのように、暗転した途端、睡魔が…。ということで作品の半分以上寝ていたので、感想は書けません。

 そして先日、高知で初演されたフルヴァージョンの抜粋としての『シアンの告白』。金森、井関夫婦が犖私混同瓩靴萄遒辰榛酩覆箸いΑ1に映像を映し出す白い壁が立ち、白いシートが、手前にシアン色のシートが敷かれた。井関の、青空を回想するテクストの朗読から始まり、幼い日の金森が海辺で遊ぶ映像が上映される。それに呼応した、幼児がカラフルなお気に入りの服を全部重ね着したような衣装に包まれた金森のダンスが始まった。

 そんな彼に、母のように登場した井関は喪服のドレスに身を包み彼をなだめるかと思えば、次は純白のチュチュを着た彼女の大きなおなかから白い羽が噴き出す。そして上半身裸。そんな彼女に金森は自らのシャツを脱ぎ、丁寧に着せる。だが2人の関係は一方的ではない。金森が彼女を担ぐより、井関が金森をかつぐシーンが多いくらいだ。とりわけ作品後半、その犖私混同瓩屬蠅開花し、いまこの2人が感じている確かさ、絆の具現を観る思いをこの作品に臨んだ観客は味わっただろう。さて、このエナジーがNoism作品にどう変容し、顕現するか(大化けするか)楽しみだ。






reversible_cogit at 23:58|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)ダンス | 展覧会

『予言』と酒井法子   鶴田法男監督『予言』



 数カ月前、どうしても鶴田法男監督、映画『予言』のDVDを手元に置きたくなり、購入してからきょうまでずっと観ないでおいてました。なぜ、きょう観ようと思い立ったかといえば、あすが休みというのもありますが(笑)、急に思い出したのは、そういえば酒井法子が三上博史の妻だった、と。

 この『予言』という作品。自分にとって獏としか印象の無かった三上博史という存在が、自分の中で体当たりな俳優として認識した作品でした。以後、三上自身、この作品に重なる役を多く演じることになります。掛け替えのない存在、子ども(あるいは親)を亡くし、立ち直ることに向き合う、否、もう捨てるもののない苦悩とふっきれを。

 そして、酒井法子。改めてみて、いい演技してました。なんともいえな薄幸な雰囲気はもちろん、抗いえない何かに対峙しようと、子どもを失い、夫を失った静かな鬼気迫る雰囲気は生やさしくはない。今、彼女が世間を騒がせている原因を思うと、そうした面も演技の一部であったのかと、素直に思えてしまう。

 この物語は、以前書いたことを繰り返すなら、人にとって掛け替えのないものを失う瞬間は、何度でも、何度でも、その人の中で繰り返されるという悲劇の本質。さらにいうならば、人は、負けと分かっていても、どうしても闘わなければいけないことがあること。三上は、それを見事に演じきった。泣いた。そして、それを仕立てるアカシックレコードなど、恐怖と神秘の物語でもあるのです。


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reversible_cogit at 01:47|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)映画 | DVD

September 12, 2009

報ステ狢臻椡槌表畤發賣し、悪用



 昨晩の帰宅途中、ワンセグで報道ステーションを見ていたら「JAL、デルタ航空と資本交渉」という一報を伝えていました。まるでJALが主体的にデルタ航空と資本提携を模索している、お荷物のJALの整理の仕方、みたいなコメントで伝えられました。これを聞き、愚かにも信じてしまいました。

 しかし、けさの日経報道を見ればそれがほとんどデマに近いことが判明。実際はデルタ側がもちかけた話で、それを国交省がまとめたい思惑が伝えられました。つまり報ステは、話をまとめたい国交省のリークをまんま記事にしているに違いありません。さらにテレ朝の親会社、朝日新聞は全日空の大株主ですから、意図的に日本航空潰しの報道姿勢ははるか以前からありましたし。

 JALが今、経営危機に陥っているのは、もちろん業務体質や高すぎるパイロットへの給与などもあるでしょう。が、しかし。やはり最も大きいのは、元国営航空として、ナショナル・フラッグアキャリアとしての「儲からないけれど飛ばさなければならない路線」があまりにも多かった。まさに国策によるつけが、民営化後のJALに重くのしかかったのです。この点をあまりに軽視しているのではないか、と感じます。

 いずれにせよ、報道機関が国交省のリークをそのまま報道するようではどうなのか。官僚批判を前のコーナーでしておきながら、次のニュースで狢臻椡槌表瓩鮨發賣し、それをネタにJAL批判をする。あまりにあさましい番組作りに憤りを覚えます。





reversible_cogit at 23:58|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)政治経済 | TV

希望を描くには



 「日本が製造装置や素材をつくり、韓国が電子デバイスを生産、中国で組み立てる」(李潤雨・サムスン電子CEO)

 「米国債を大量に保有する日中両国が協力し、米政府に赤字拡大をしないよう働きかけるべきだ」(李向陽・中国社会科学院アジア太平洋研究所所長)

 けさの日経新聞の特集記事内で読んだ、中韓要人の言葉に胸を打たれました。アメリカが中国をわが陣営に取り込もうと「G2構想」を唱えても、そこから距離をとる発言を聴いて、僕は「またまた〜」と感じていたのですが、単なるカモフラージュでもないことが分かったことは、自分にとっては大きな開眼でした。

 そしてなんといっても「半導体・液晶の王者、サムスン電子」のCEOがこのような発言をしているというのは、サムスン電子をただただ脅威となる巨人と見る向きには、ある程度の抑止になるのではないか。日経が指摘する「チーム・アジア」態勢で新たな生産体制を築いていけるかもしれない。もちろん、これらの発言を100%真に受けるのはどうかと思いますが、こうした発想が口をついて出ること自体が、重要だと考えます。というか、胸につまるほど感動したのでした…

 それにしても、生まれたときから数年前まで読んでいた朝日新聞の、ともすると媚中派的にとられる親アジア的論調と、この日経の「経済でウィンウィンの関係を築くことが最重要」という、複雑な政治をも軽く跳び越える芯のある論調、どちらが実際的に、そして偏狭なナショナリズムに対しても有効か、こうした発言を織り込む論説を載せる日経にあることは明白ではないでしょうか。




reversible_cogit at 00:49|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)政治経済 | 新聞

September 11, 2009

初・初音ミクで聴くバッハは??



 たまたま無性に、BWV78のデュエットが聴きたくて、YouTubeを探していたら、噂の彼女に出遭い…




 気持ち悪いけど、当たり前に狆綣蠅き瓠バッハはとにかく機械的に正確な音程が求められますから、ぴったりなのかも。ドイツ語はどうせ分からないし。

Bach: Cantate BWV.198/Cantate BWV.78 (Bach: Trauerode BWV 198; Cantata BWV 78 /Herreweghe)
Bach: Cantate BWV.198/Cantate BWV.78 (Bach: Trauerode BWV 198; Cantata BWV 78 /Herreweghe)
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 やっぱり、こちらがいいですが(笑)



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September 09, 2009

社民党は、角を矯めて牛を殺してはならない




 読売新聞/静岡大学版「ボートマッチ2009」の結果にそって、社民に衆院比例で投票した者としていいたい。「連立協議、3党の合意持ち越し」とのこと。原因は民主・社民・国民新のなか、社民党が「インド洋からの自衛隊即時撤退」「沖縄からの米軍基地、縮小・撤退」を性急に求めているからだそうだ。

 正直、社民党にあきれるばかり。日テレ「NEWS ZERO」の解説によれば、3党連立が成った場合、最終的な政策決定は民主党に一元化されるものの、党首級が参画する機関が設置され、政府としての決定に3党が関与するという譲歩案を民主党が示したという。数カ月前、民主党が社民党との連立を前提に、インド洋への自衛隊派遣を現行法の来年1月の期限まで、と区切ったことに僕は喝采を送った。これがもし自民党だったら、期限どころか有耶無耶にしたことだろう(実際、そうしてきた。そうやって公明党は腐った)。

 しかし社民党は、かつての日本社会党の消滅の轍を踏まず、としたいのか民主党のそうした妥協案に応えようとしない。だが、今は政策決定に参画することが確約されたならば、そうした安保にかかわる懸案は保留にしてまずは政権参画を実行し、閣内に大臣を送り込むことが先決だ。沖縄の米軍基地の問題など、民主党が見直す方針を打ち出しているのだから、現時点で良しとすべきである。一朝一夕の話でないことは、社民党が痛いほど知っているだろうに。

 なんといっても、民主党が308議席、社民党は7議席、という足元を見るべきだ。僕自身は社民党を支持するが、世間がそうではないことも理解している。社民は身の丈を超えた過大な要求を今、すべきではなく、これからの4年間の節目節目で主張し、それでも意見が合わなければ政権から離脱すればいいことなのだ。まずは閣内に入り、民主党に対する「9条改悪防止の楔」を打ち込むことが第一だ。社民党は、角を矯めて牛を殺すようなまねをしていけない。欧州の政権参画をしている社会民主主義党から学べ!






reversible_cogit at 00:48|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)政治経済 | TV

September 08, 2009

鳩山氏は池内信人総理になれるか   鳩山氏「2020までに90年比で温室効果ガス排出25%削減」




 先日、再放送されていたTBSドラマ『官僚たちの夏』をちらっと見た。評価が高く、友人や日経新聞でも様々な記事で言及されている。見れば実力派揃い踏みの俳優陣で固められ、確かに見ごたえはあった。ただ、なぜ今「官僚」なのか、という懐疑から本放送を見てこなかった。

 しかし今、民主党が官僚攻撃で点数を稼ぐなか「マックス・ウェーバーを持ち出すまでもなく、優れた官僚制は体制を問わず、公私を問わず必要だから、優れた官僚制を育てる意思のない独善は、必ず批判の対象になる」(日経「大機小機」/盤側)という良識ある見解が広く認められるきっかけとなればいいのではないか。また、IBMによるハードルの高い特許料要求をとどめた尽力は、現在の科学技術立国日本の礎に貢献した大きな成果だろう。

 一方、逆な意味でもう一つ。貿易自由化を巡って通産省企業局は、今の「バイアメリカン条項」を彷彿させる保護貿易法案を成立させようと奮闘する。が結果、池田勇人元総理に擬せられた池内信人総理によって審議未了廃案の憂き目にあう。特にドラマでは繊維産業の打撃を大きく描いていた。しかし現在、東レといった伝統ある繊維産業の企業が、新分野である炭素繊維や各種膜事業において世界一やそれに次ぐ地位にあるのは、こうした公正な競争、グローバル化に適応する努力を企業自身がとったからにほかならいし、それを促した方針は先見性あるものであり、逆に当時の官僚が短視的だったという他ない。

 7日、次期総理の鳩山氏が「2020までに90年比で温室効果ガス排出25%削減」を打ち出した。これに対し財界や通産省はいっせいに反発し、家計の負担が増えると喧伝している。まさに「いつか見た光景」ではないのか。結果的にこの高い目標が達成されるかどうかは別にして、この目標、CO2削減に向けて政府が指針を持ち、企業が努力するなら、太陽光発電、風力発電、潮力発電、スマートグリッド、車両機体の軽量化、低消費電力電化、そしてクラウド・コンピューティングなどなど、日本がこの分野で優れた技術を更に発展、充実させるならエネルギーのパラダイムシフトの実現だけでなく、日本企業の世界進出をいっそう後押しすることになる。まさに「グリーン・イズ・グリーン」。鳩山次期総理には腰折れすることなく、この宣言を実行に移してほしい。鳩山由紀夫総理は池内信人総理になれるか。





 

reversible_cogit at 01:18|この記事のURLComments(3)TrackBack(0)政治経済 | 新聞

September 07, 2009

コスプレ「太田公明代表」落選、の意味



 電車の中吊り広告でしか確認していませんが、今回の選挙でも久本雅美が応援演説し、山本リンダが戸別訪問して(って公選法大丈夫か?)、創価学会文化部所属のタレントが総出で、東京12区から立候補した太田昭宏代表(当時)を応援したそうです。前回参院選では、テレビで久本が「公明党は最高です!!」と名古屋で演説していたのを見ました。そしてその愛知でも、今回の東京12区でも、公明候補は落選しました。もはや学会タレントは政治的にも、視聴率的にも風前の灯です。

 去年夏、仕事で北区を歩いて愕然としたのは、太田公明代表のコスプレポスターがとにかくたくさん張られていたこと。鮮魚店、パン店、建築業、生花店などなど、さまざまな自営業者の格好をした太田代表のポスターが何バージョンも、街の隅々に張られていました。なにせ自民党も推薦ですから、そういうことになったのだと思います。ただ、京都大学大学院修了で、あんなに腹黒さが顔からにじみ出たパン職人が焼いたパンは、全然おいしくなさそうですし、とにかくリアリティーがない。どれだけ区民が、腹の中で苦々しく感じていたことか。

 今回同区で当選した民主・青木愛氏を「落下傘候補」と批判したそうですが、そもそも太田氏自身落下傘候補であり、学会の事情で落下傘候補を送り出すのは公明党の常套手段。東京・北区という、都中心部に対するベッドタウンの色合いもある地域において「落下傘候補か地元出身か」はそもそも余り問題ではなく、地元の方からしたら地元出身でもない太田氏が馴れ馴れしく毒々しい笑顔でコスプレしているポスターなど、いかにマイナスなイメージだったことか。

 ことほど左様に公明党という政党が内向きな政党かは、共産や自民の比ではありません。なにしろ演説を聞けばわかるように唯我独尊(太田氏著書のタイトルが『わが栄光の青春』全4巻!!)、学会のおばちゃんたちが黄色い声援を上げ、公明党の職員が党首をいじったCM(いじっているところがいい、と勘違いしている)を作って喜んでいる様子がテレビで報道されて平気な彼らです。思えば細川政権から今の今までほぼ一貫して政権入りし、甘い汁をずっと吸い続けてきた、それだけが目的の公明党。まさに政治の癌です。自己増殖し、最後は本体を死に至らしめる。

 来年の参院選への巻き返しに、火の玉となって臨むであろう彼らに国民が打ち勝つには、今回のように投票所に足を運ぶこと、それだけでいいのです。絶対に勝てないと思っていた巨悪に勝てた。この経験だけでも、政権選択以上に国民への「覚醒」となったのではないでしょうか。




reversible_cogit at 00:31|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)政治経済 | TV

September 06, 2009

爛曠蕁辞瓩鮑佞知的衝撃  パスカル・ロジェ監督『マーターズ』@シアターN渋谷



 「マーターズ」という聴きなれない言葉。なにやら爛好廛薀奪拭次Ε曠蕁辞瓩里茲Δ焚菫に、当初はまったく観ようと思う映画の圏外だった。しかし、ちらっと職場で読んだ新聞に掲載された評で「単なるホラーじゃない」という文字が目に入って…。で早速に昨晩、仕事帰りに観ることにした。渋谷TSUTAYAでチケットを買うとタイトルがフランス語で『Martyrs』とある。マルティール?マルティール?何度もオペラの歌詞で聴いた音(おん)。なんて意味だっけと少し考えて突如、「殉教」!と気づいた途端、予期せぬ期待でシアターN渋谷への足取りが軽くなった。

 パスカル・ロジェ監督『マーターズ』を観た。この映画をホラーとして宣伝したなら、それは間違いだ。が、しかしそうせざるをえないのも分かる。なぜなら、この作品の秘める知的衝撃度は、劇場で味あわなければならないから。かつて誘拐された少女による復讐劇。養護施設で彼女と共に育ったもう一人の少女は彼女の経験を長年聴かされながらも実感はなかった。しかしその復讐の実行がなされるとき、真の展開が待っている。なぜタイトルが「殉教」なのか。フランス版ポスターに「彼女たちは生きる存在であることを止めなかった」とある。この作品が示唆する、フランス的信仰へのアプローチの見事さよ!

 食わず嫌いは良くないです。ぜひ、劇場で観てください。

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September 05, 2009

三池監督が躊躇なく描く「美」  三池崇史監督『クローズZERO供



 この文章は、N.Y.からの帰国便JL005内で書いたものにやや補足したものです。

 三池崇史監督『クローズZERO供戮魎僂拭自分にとって、けんかやカーチェイス、追いつ追われつのシーンが多すぎる作品の評価は低い。が、この『クローズZERO』気皚兇癲非常にけんかのシーンが多いにもかかわらず、これが三池マジックでおもしろい。全くあきない。

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 そこにはどうしようもない、男同士の義理と人情がクールに織り込まれ、しかもべたべたしていないからすごい。特に兇砲いて、登場人物の描き分けが一歩間違えばベタと単に表現してしまう構図、例えばかつてライバル校の生徒を刺し殺し少年院からでてきた男の転落と、彼を身を挺して助けるかつての先輩。ずっとうざいと思っていたやくざの父親から急に愛を持って諭された後、その父が撃たれて重傷、などなど。

 また、メインとなる好敵手同士の関係(小栗旬、山田孝之、金子ノブアキら)が描かれる中で、その輪から一歩引いた存在として綾野剛と三浦春馬がキャスティングされている。最終盤、それまで徹底して強かった綾野が、真の強者を前にして、無敵をくじかれる者が初めて見せるおびえた表情のセクシーさ、を見事に演じる一方、周囲が血みどろで戦う中、唯一、血一滴、泥のひとはねもなく最後まで「無欠な美」をもって描かれる三浦春馬。気嚢木メイサが担った「華」を見事、『奈緒子。』でライバルを演じた2人に担わせている。

 これこそ、三池監督の本領だろう。男臭いシーンの中のメリハリとなり、コントラストとなる。この種のエロスが、たいてい描かれるとき有耶無耶にされることが多いかもしれない。だが、三池監督は躊躇がないというか、その狙いの正確さはいつもこの人のお手のものだ。監督が描きだす、ぎりぎりでスリリングな世界を見事に際だたせている。次作もすごいらしい。



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September 04, 2009

N.Y.3日目&最終日 寄付文化と拝金主義



 N.Y.での足取り:3日目8/30★:エンパイアステートビル→自由の女神→エンパイアステートビル→グッゲンハイム美→セントラルパーク横切って自然史博物館→写真センター→ホテルで最後の夕食

 CITY PASSに残っているのはあと4枚。眺望系は晴れたらと決めていたのですが、結局最終日朝は天気予報も裏切られて曇り。もういいやと思い、また歩いてエンパイアステートビルへ向かいました。『デイ・アフター・トゥモロー』でJ.ギレンホールが逃げ込んだ市立図書館を横目に、途中、そういえばN.Y.のスタバに入っていないことに気づき朝ごはん。

N.Y.
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 開場午前8時の10分前にいくと、見事がらがら。すいすい展望室直行エレベータ前で、案内の方がいうのです。僕はここでチケットを切ってもいいけれど、今いっても視界が悪くて見えないよ。きょうは後から天気が良くなるみたいだから後にしたほうがいいんじゃない?いつ発つの?と」。おぉ。不安に思っていたことをしっかり指摘してくれ、気を使ってこんなアドヴァイスまでもらえるのか!と1日目のこともあり感動。素直に予定を変更し、自由の女神へ向かうことに。僕の前をいってた白人少年2人組みも帰っていました。が、ぼくのあとから来ていた日本人少年2人組は…。

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 少し歩いて、見えていた有名な直角三角形ビルを写真に撮り、さすがに地下鉄に乗りました。すると、枝分かれでいったんマンハッタン島から出てしまいましたが、周り中、おんなじミスをした観光客ばかり。安心しました。時間もあるし。そしてフェリー乗り場に着くともう人がいっぱいで、最初の船が出ようとしていました。まだ曇りです。そして船上では、同級生の悪口にふける日本人の女子学生(ここまで来てか!)にうんざりしつつ、自由の女神が近づくに連れて、なんと晴れて来たではないですが!思い出したのは、1日目、事件後に旅行代理店のかたに慰められつつ、僕が落ちている1ペニーを拾ってフロントに渡そうとしたら「あ、それラッキーペニーっていうんですよ!あとの旅行はきっといいことありますよ」ってそのかたが言ってくれたのを。

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 もう島に着いたら晴れ晴れ。いい写真が撮れました。フランス女が青空に映えてきれいでした。ただ、一人旅行でさらに上に昇る権利はないので一周してすぐフェリーに乗りましたが。途中停泊したエリス島船上で友人に電話して、日本時間30日午後11時現在の開票状況を確認し、政権交代を確認し、心置きなくエンパイアステートビルへ戻りました。

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 大混雑の中、まぁまぁ待たされ、80階から86階までは階段でいくと早いよといわれ階段で登り、ほぼ快晴の摩天楼を無事、見下ろすことが出来ました。下からでは絶対に見えないロックフェラーセンターのGEロゴも見え、バンカメ、シティ、JPモルガン・チェースなどなど、見たかったビルも改めて確認し、中学生から憧れていた風景を実際に見ることができましたが、実際、そんなに感動しないのはスレてしまったからでしょうか。いや、ツインタワーがないからでしょう。

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 またまたまっずいウェンディーズで昼ごはんを食べ(これがまたノロノロ作ってるんですよ)、グッゲンハイムへ。地下鉄を下りたら更に快晴で、もう熱い熱い。朝の寒さにジャケットをホテルに取りに戻ったのが失敗だったと感じるくらいです。そして有名なライト設計の美術館の内部に入ると、なんともゲイゲイしい案内の人に「こっちのエリアはあなたのチケットで入れるけど、こっちの螺旋部分は別料金よ。ここを通らないであなた、戻ってこられるかしら?」と冗談を言われ、聴いた瞬間は良く分からなかったので「もういいからこっちだけでいい」とスルー。いつかあの会話についていけたら英語力も向上した証拠でしょう。

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 で、内部はMOMAやメト美と比べたたら拍子抜けするくらい狭くて、さらに写真も撮れないしやたら監視が多い。並ぶ作品も印象派からいっぺんに現代に飛ぶので、共に自分の的から微妙に外れて…。ということで、さっさとゲッンハイムは後にして、当初行く予定のなかった自然史博物館へセントラルパークを横切っていくことにしました。

 もう人、人、人。青空と緑の芝生と木々。自転車ばんばんこいで、走る人も多数。富裕層はこうしてストレスを週末に発散するのかと実感しました。木々の向こうにぽっかり頭だけ見えるビルが「絵みたいにきれい」と一人ごちでしまうほどにきれいだったのですが、その手前には上半身裸で寝そべっている人だらけで、ここでカメラを構えるのは誤解の元だとあきらめました。

 自然史博物館も広かった。それも剥製が、ここぞとばかりに並んでいて西洋的。ただ、恐竜コーナーは上野の科学博物館での思いでを髣髴とさせ、子どもたちも大喜び。恐竜人気は万国共通ですね。そこで、職場で横暴らしい友人=アニメプロデューサーのおみやげにティラノサウルスのぬいぐるみを購入。せいぜい会社のデスクにおいて陰口をたたかれるといいのです(笑)

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 外に出ると、ブルームバーグ社が寄付したとおぼしきトラックがとまっていました。そう、どこの美術館も博物館も、様々な財団や個人からの寄贈・預託によってそのコレクションが成り立っているのです。先日WBSで日本と米国の「寄付文化」の違いが、その額の何桁もちがう事実に小谷さんが驚いていたのを思い出しました。ブルームバーグは日本でいうところの日経CNBCで、日経CNBCは「環境に貢献します」みたいなCMを流していますが、実際何をやっているんだか。もしかたら、現市長がブルームバーグ氏であるのにも関係あるのかもしれませんが。

 さて、最後にまだ少し時間があるのでホテル近くの写真センターへと地下鉄へ。乗りこむとエアコンのあまり利いていない車両だった上にかなり満員。で、なんとその電車、途中で「前の駅で人を救助してます」とアナウンスが入り、20分くらい止まってしまいました。そしてどうやら、そこにたくさん乗っている人たち、メッツの試合帰りの人たちでうかれているところを見ると試合にメッツが勝ったようでした。みんなごきげんで、あんなに待たされても特にうんざりした様子もなかったですが、もしこれが負けた試合の後だったらと思うとそら恐ろしいです(あとでテレビのニュースで、確かにメッツ勝利を確認しました)。

 写真センターは、すんごくよかったです。ちょうどRichard Avedonという写真家の作品が並び、なんというか一番洗練されたN.Y.をやっと見せてもらった気がしました(映るのはパリでの撮影が多いですが)。ヴィダルサスーン参加の作品を見て、自分も以前、美容雑誌にいたことを急に思い出した次第。このヴィダルサスーン氏の下(かそのスクール)でboyの茂木さんやDADAの植村さんが学んだんだよなぁ、と。かっこいい。あと、ココ・シャネルがすねたような口をしたのを下からあおって撮っている写真がキュートでした。いい空間!!

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 ホテルに戻り、少しのつもりが2時間近く寝て、レストランへ。あの「80$枠」を使い切らねばなりません。CANVASという銘柄のカベルネをグラスで注文し、オススメのミートローフを注文…。いや、同じひき肉料理でも、ウェンディーズとここでは値段が何倍違うか忘れましたが雲泥の差でした。焼きたてパンもおいしいし、ワインもうまい!なんというか、こういう差を知ると、拝金主義になるニューヨーカーの気持ちが良く分かります。日本だと、ここまで差がないから。とにかくも、同枠をすべて使い切りはしませんでしたが、これもいい経験。当初予定していたオイスターバーにいっておなかを壊していた可能性は、ミートローフの何倍もあったでしょうから。

 と、いうことで実質的に最終日は無事に終わり、よく朝、先の日記を朝目が早く覚めて書き、国連本部をちらっとみて飛行場へ。で、さらにここで落ちなのですが、空港に入っていた中華がうまかった。一人でいく勇気がなかったチャイナタウン…こんどはあそこでいっぱいおいしい中国料理が食べたいです。なにせパリでも、ミラノでも、中華が一番おいしかったんですから(笑)貧乏旅行にはふさわしかったはずなのに〜

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 空港からマンハッタンを望む


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September 03, 2009

N.Y.2日目 ライオンキングで白河夜船



 N.Y.での足取り:2日目8/29★:ロックフェラーセンター→MOMA→ライオンキング

 大雨でした。前日、到着時の曇り、小雨からいったん夕方には晴れてあすは何とかなる、と思ったのも束の間、夜が更けるにつれて靄がでてきていたのでした。

 朝ご飯はきのうの「80$枠」を活用しようと、ホテルのレストランへ。25$のクレープを頼んだら、オマールエビがたっぷり入っていておいしかった!自分で殻をむかずにぷりぷりのエビを食べるのはやっぱりいいですね。結局、オレンジジュースや紅茶を薦められるがままに楽しんだらもう35$。贅沢すぎですね。でもあとから考えると良い経験ではありました。サービスも気持ちよかった。

 宿泊のグランドハイアットが比較的、好立地ということもあって、旅先で歩きまわるくせが復活して前夜もメト美からホテルまで歩いて帰ってきて、大雨なのにタクシーも使わず一日、ぐるぐる回りました。またそれが、ライオンキング上演中にくるのですが…

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 さて、GEの本社となっているロックフェラーセンターで写真を撮り、そのままMOMAへ。大混雑ですが、押しあいへしあいというほどでもなく、世界中の観光客が集まってきていてなんだか安心できる空間。そしてなにより、きのうはまだ怖じ気付いて余り撮らなかった写真を撮ることにしました。仕事では展覧会で写真を撮るのですから変わりはありません。その中でカンディンスキーとドュビュッフェの作品は、これまで画集や数点を実物で観てきたのですが、その傑出具合に感動しました。本当に美術館自体が開放的で、なんと居心地のいい空間だったか!

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 その後、グッゲンハイム美に歩いて向かったのですが時間切れと、おなかが空きすぎて、ユダヤ系のお店でラムチョップを食べ、副菜とグラスワイン一杯頼んだら40$を超え予算オーバー。副菜のブロッコリーが、ゆでた一房そのまま出てきたのには食べづらくて困りました(笑)ラムはおいしかったです。

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 セントラルパークをかすめ、いったんホテルに戻って一時間ほど休憩し、タイムズスクエアに隣接する劇場へ。客案内のおばあさんが両脇の入り口にいて、この年まで劇場で働けるなんて素敵!と思わずにはいられませんでした。が、元気だったのもここまで。舞台が始まるや、確かに見事は見事なのですが、話が単純。おぉ、まさに『ジャングル大帝』のぱくりが堂々と上演されていると思うとだんだん眠気が…。以後、うしろの席の韓国人一家(このウォン安時に家族旅行なんて、なんと富裕)のノリノリとは対照的に、もう断片しか観てませんし、それでも物語の展開がよめるくらい単純で…。白河夜船ってほど熟睡はしませんでしたが。ミュージカルに「物語」、それも子ども向けの作品に期待するのが間違いでした。隣の隣で上演されている、ジュード・ロウの「ハムレット」にすればよかったかも。  

 夜ご飯はまっずいKFCですませました。デザートの金も払っているのに袋に入れてないから抗議して入れてもらいました。黒人のねぇちゃん、いい加減すぎ。そんなこんなでへとへとな2日目が終わりました。にしても、詐欺師といい、KFCの店員といい、スタバの店員といい、ちょっと黒人態度悪すぎ。白人の店員さんは総じて親切。格差の反映がそのままこういう結果になっているのかは知りませんが、実感として。

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September 02, 2009

N.Y.初日にして鴨られるの巻



 N.Y.での足取り:1日目8/28★NYSE→グラウンドゼロ→タイムズスクエア→メトロポリタン美術館→ホテルへの帰途、事件が。

 さて、旅立ちの東京は快晴でした。成田もこんな感じ。遠い、遠いと思っていた成田空港も、渋谷から成田エクスプレスで一本でいくと、かなり楽だと実感しました。

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 まず僥倖が一つ。と、Webチェックインをすませていたからかも知れませんが、エコノミー席から「調整のため」プレミアム・エコノミー席に格上げされており、貧乏人にはありがたい恩恵でありました。機内では本未公開の『ウルヴァリン』と、舞台はWOWOWで観た映画『鴨川ホルモー』を鑑賞。後者の選択は微妙で、物語自体はおもしろかったものの、ケネディ空港着陸寸前で頭の中は京都一色というのは失敗だったかも。さらに、ほかにも観たい作品がある中で「鴨川」なんてタイトルを選び、望外の席格上げのツケは、しっかり後で回ることになるのです…。

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 空港に降り立つと入国審査に30分がゆうにかかり、東京と一転、初のニューヨークは雨でした。審査待ちのスペースに掲げられたLG製モニターから、CNNのメテオがハリケーンが近づいていることを告げていました。完全自由観光ですがツアーですので案内の方が空港に出迎えてくださり、大雨の中、車で宿泊地、グランドハイアットへ。車中、同じツアーの夫婦の奥さんが、ガイドさんの話になんでもかんでも「へぇ〜」をおよそ50連発。いったん気にしだすとイラついて、「以前にもきたことがある」といいながら、何にも知らないのか!と。あんなヴァカな奥さん、耐えられません。

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 さて、無事にチェックインをすませ、まず向かったのはウォール街。やっぱりNYSEみなきゃ、はじまらんでしょ、ということで。ホテル横のグランドセントラル駅から地下鉄で向かいます。とっても便利。着けば雨も本当の小雨で、まず地上にでて目に入ったのが三位一体教会。アメックスなどの高層建築群のなかで、ゴチックな教会は際だっていました。そして歩を進めると、ありましたニューヨーク証券取引所。先日のNスペ「マネー資本主義」のOPで多くのビジネスマンたちが傘でくるくる飛んでいた場所です。

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 しかし、内部見学は9・11以来、中止されていて中には入れず、加えて修学旅行生やら観光客ばかりで、う〜ん。拍子抜け。金融博物館もうろうろして探しましたが、当日はもう閉館していて仕方なく、ドイツ銀行やチェース銀行(JPモルガン傘下)のでっかいビルを横目に、グラウンドゼロと、そのトリビュートセンターに向かいました。

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 そこだけ、空が開けていました。だから、そこにあったであろうビルを想像して、上空を見上げました。降ってくる金融エリートたちの幻視と重なりつつ…。トリビュートセンターには、その方々の写真や、家族が彼らを捜した写真入りの張り紙が壁を埋め尽くし、WTCにまつわるエピソードや、事件当日の模様が映像で流されていました。日本人も、自分が覚えているのは野村證券、富士銀行(当時)に勤務する方々が亡くなり、館内に掲示された張り紙には中央三井信託の方も。まさにWTCが米国の金融、すなわち米国が世界に冠たる何者かを示す機能の中心だった。故に、シンボリックな意味と同じに標的にされた、と。

 僕は、この人々もろとも崩れ去った2本の銀の塔が、どんなテロとしての狙いで、あるいはブッシュ政権の陰謀で、破壊されたのかは想像もつきません。しかし、厳然と目の前には失われたあまたの人生があることには変わりなく、まさにこれは「戦争」だったのだとかみしめるだけです。いま我々にできるのは、なぜこのような事が起こったのか、を問い続けることだと考えます。それがテロであれ、陰謀であれ。行為者は違いますが、一本の線でこのあまりにも対照的な2者でさえ結ばれるのですから。

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 その後、ふらふらと下って公園で一休みし(なんというかこちらのスズメは表情豊かで、かわいい)、Webチェックインをするためにグランドセントラルに戻って、徒歩でタイムズスクエアに隣接するJALのデスクがあるウェスティンホテルへと向かいました。タイムズスクエアは世界のショーウィンドウのごとく、日米韓を中心とした世界のメーカーのロゴが踊っていました。東芝がもっとも目立つのですが、この広告費が、テレビに映され、世界の観光客の写真に収まると思えば見合うのかもしれません。ただ東芝、主戦場を原発と半導体にしているのに、一般受けしても意味あるのかな、とも。あんまりおなかが空いたので、吉野家で東京にないメニュウを食べ、一息。

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 次の目的地はメトロポリタン美術館です。ただ時間がない。大失敗。今回、ネットでCITY PASSというNY市内の観光名所のチケットがつづられているものを事前に購入しました。ただプリントしたバーコードと交換してわかったのですが、綴りと書いたように各所各一枚形式で、つまり一回の入場に一枚。決して期間中入り放題ではないのです。はらづもりとしては2回にわけてメト美にはこようと思っていたのですが、甘かった。ということで大急ぎで目ついたところを回りましたが(仕事を考えると中国・日本美術を最優先に)、一番肝心な西洋絵画コーナーに足を踏み入れることなく・・・いつかに後回しとなりました。感動したのは邸宅をそのまま再現していたり、空間を自在に再構成し展示して、狭い東京の美術館とは比較になりませんでした。

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 さて、事件が起きたのは夕食を買い込んでホテルにつく直前でした。黒人男性が僕にぶつかり、なぜか手にもっていたメガネのレンズが壊れたから330ドル弁償しろと領収書を見せながらいうのでびっくりしてしまい、とりあえずホテルにまでつれていって、あり金を80ドルを渡し、とにかくとJALの旅行代理店(CUE international)に電話したのでした。それは詐欺の疑いが大いにあるのでセキュリティを呼んで事情を電話口ではなしてくれたのはいいのですが、そのセキュリティも黒人のせいか、あとから考えれば怪しすぎるその男の言い分を聴き、僕が手に持っていたのはおかしいなどと話しても、壊したんだから払うのは当然だ、とまったくとりあってくれず、結局はその男から80ドルを取り返すこともなく逃がしてしまったのです。

 と、そこへ日本人の旅行代理店の方(女性)がかけつけてくれ、そんなの詐欺の手口に決まっているのにどうして逃がしたのか、どうして警察を呼ばなかったのか、と抗議してくれたのです。鴨られたとき、僕は片手にガイドブック、肩からカメラ、と間抜けな日本人そのままだったのです。加えて黒人のセキュリティで、さらにマネージャーが韓国人。もうここにはバカな日本人の味方はいません。代理店のおかげで80ドル分ホテルでの食事はタダになりましたが。

 にしても、本当にJALでよかったです。そのサポート体制が万全といい、僕が困ればなんとかして解決してくれる態勢に感謝でいっぱいになりました。そんなこんなで夜遅くまでいろいろあったNY1日目が終わりました。






September 01, 2009

N.Y.31日am6記  民主党は豹変せよ


 この文章はNY現地時間31日午前6時に書いたものです。

 CNBCのWorldwide Exchangeを見ている。キャスターは民主党が政権をとったとしても、経済政策に大きな違いは起こらないだろう、としたり顔で伝えている。東京の31日日経平均株価は、民主党の大勝を受けて日足でいったん大幅高になるも円高進行、上海株の大幅下げを受けて41円安となった模様。現在、ロンドンは上げ、フランス・ドイツは下げ、ダウ・ナスダックの先物も下げるという、あまり1日の東証株価に円高の進行とともに雲行きは余りよくない。

 さて、現地31日昼、自由の女神像を横目にエリス島から東京の友人に電話して聞いたところ、東京30日夜11時すぎ段階で与謝野財務大臣が落選するなど、民主党の圧勝は事前予想通りだったことを確認した。結果、自分がここで幾度か書いた「民主が勝てば衆参のねじれが解消され、政策の迅速実行を好む市場・株価にはプラス」という言が、とりあえず日足の動きで確認された。が、同時に93円前後というドル安進行と上海株の大下げ、という外部要因によってあっという間に祭り気分は覚め、41円安という中途半端な結果で実質的政権交代を迎えた初めての取引を終えたようだ。かくも日本が、政権交代を迎えてさえ、国際関係の中にあるかが再確認できる。

 加えていうなら、金融アナリストや昭和電工社長など金融界から実業界まで、民主党は政権をとったなら「豹変」し、政策を変えてバラマキ型から持続可能、次世代産業育成型の政策に転換すべき、つまり国を思うならマニフェストを破棄せよ、といわれているような新政権であることだ。国民は、ここがもっとも大事なところで、単に「マニフェスト違反」と過剰反応するのではなく5年、10年、先を見据えて民主党の振る舞いを見守るべきだ。AERAによれば民主党はスーパーエリートの金融出身者が多数いるらしい。彼らに任せれば、最善の解答が得られよう。いったん託した政権だ。自民党の長期政権を思えば、次の4年などなんでもないはずだ。これから問われるのは、民主党と同時に、国民の資質にほかならない。



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